乃木坂46・与田祐希が「量産型リコ」で披露するリアルな「恋する乙女」の表情

「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」(ファミリー劇場)
「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」(ファミリー劇場)

本職のアイドル業を超えて、演技の才能を開花させているメンバーが続出中の乃木坂46。中でも、朝ドラに出演する山下美月や大河ドラマに出演中の久保史緒里など、才能を結実させて勢いに乗っているメンバーが多い3期生の中で、前述の2人に続いて女優として注目されているのが与田祐希だ。

与田は、デビューシングルとなる18th「逃げ水」で大園桃子とWセンターを務めて以降、19thシングル以外の全ての表題曲で選抜メンバーとなっている。グループにとって欠かせない存在で、ソロでは153㎝と小柄ながら、童顔の愛くるしいビジュアルで女性誌のレギュラーモデルも務めている。また、バラエティーでは、クールで少し変わっているキャラクターで人気を博す一方、女優としては映画「ぐらんぶる」や日曜劇場「日本沈没-希望のひと-」などに出演し、アイドルの時には見せない新しい一面を披露。中でも、彼女の女優としての魅力が十二分に発揮されている作品がドラマ「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」だ。

すべてが平均的な「量産型女子」を演じる与田祐希
すべてが平均的な「量産型女子」を演じる与田祐希

本作は「量産型」と称されるごく普通の女性が仕事やプライベートに自問自答しながら、プラモデルとの出会いを通じて大人へと組み立っていく成長記を描く「ホビー・ヒューマンドラマ」。本作が地上波連続ドラマ初主演となった与田は、主人公の小向璃子を演じている。与田は、「量産型女子」の小さいながらも着実でしっかりとした成長を芝居で表現し、緩やかに変化する成長度合いをクレッシェンドに見せてくれる。

性格、容姿、好きなもの、センスや価値観などあらゆるものが平均的なタイプの人間・璃子。イベント企画会社に勤め、会社の中でも「のほほん部署」と言われているイベント3部に所属している璃子は、ある日同期から言われた「量産型の人間」という言葉に自問自答してしまう。そんな時、ふと町で見つけた模型店が気になり入ってみると、「量産型」と書かれたアニメシリーズ「機動戦士ガンダム」に登場する「ザク」のプラモデルが目に留まり、店主に勧められるまま初めてのプラモデル作りに挑戦することに。璃子は徐々にプラモデルの魅力に惹かれていき、それが自分自身を見つめ直すきっかけになっていく。

璃子は「あらゆるものが平均的」という、役者としては難役とも言うべき役柄だが、与田はゆっくりとしたセリフ回しや動き、感情の抑揚が少ない穏やかな雰囲気で璃子というキャラクターを作り上げ、特徴的ではないながらも魅力的な人物として表現。そんなレーダーチャートで表すと「こぢんまりとしているが偏りのない安定した形」のキャラクターが、それぞれの項目で少しずつレベルアップしていく様が観る者をほっこりとさせ、つい応援したくなる効果をもたらしている。

少しずつ変わっていく璃子に感化されるように、周りの人間たちもプラモデルを通して変わっていくというところも見どころなのだが、やはり作品としては璃子の成長なくしては語れない。ドラマで描かれる成長記は、ガラッと飛躍的に成長するものが多いのだが、璃子の「昨日よりちょっとだけレベルアップしていく」というところも「量産型」で微笑ましく、サブタイトルの「人生組み立て記」に通じている。

人生との向き合い方、仕事との向き合い方、後輩・先輩との付き合い方など、話ごとに1つ1つの項目でレベルアップしていくのだが、中でも璃子の恋愛を描いた部分は必見。与田の見せるリアルな「恋する乙女」の表情が展開の軸を支えているからだ。

会社の先輩にときめき、気になり始めて好きが加速し、好意がダダ漏れになって、ラストは周りの協力を得ながら告白を決意するという展開を見せるのだが、璃子の恋愛に関する言動は王道のど真ん中で、やっぱり量産型。クスリとさせられる要素ではあるのだが、芝居としては王道の言動であるがゆえにわざとらしくなりかねないところだ。しかし、与田の見せるリアルな恋する乙女の表情が、璃子の本気度のエビデンスとなり説得力を与えている。

普通女子の小さな成長にほっこりさせられながら、璃子の恋の結末と共に、与田のリアルな恋する乙女の表情が作品にもたらす説得力にも注目してみてほしい。

文=原田健

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放送情報

量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記- 一挙放送
放送日時:2023年3月19日(日)19:45~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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