藤原竜也の絶叫や名台詞...振り切れた演技が話題の『カイジ』映画シリーズの魅力

藤原竜也主演の映画シリーズ『カイジ』が8月に放送される。福本伸行原作の大人気コミックスによる実写映画は『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)に始まり、『カイジ2 人生奪回ゲーム』(2011年)、シリーズ最終回となった『カイジ ファイナルゲーム』(2020年)と、いずれも大ヒットを記録。自堕落な日々を過ごしている＂負け組＂・カイジが命を賭けた人生逆転ギャンブルに挑むストーリーは、ドキドキハラハラの連続。限定ジャンケン、鉄骨渡り、Eカード、沼など、シンプルなのに複雑な仕掛けが用意されている数々の極限ゲームやカイジと対決する豪華キャストも魅力だ。

そして、実写映画を語る上で欠かせないのは藤原竜也のテンションが振り切れた演技。カイジの数々の台詞はネット上でも大盛り上がりとなり、頭を抱えて絶叫する姿やビールを飲んで「キンキンに冷えてやがる！！」と叫ぶ台詞はいちばんのパワーワードとなった。公開当時「9年ぶりにカイジが帰ってきた！」とファンを喜ばせた最新作であり、シリーズ最終回の「カイジ　ファイナルゲーム」に焦点を当てて、期待を裏切らない藤原竜也の活躍を振り返ると？

■日本の状況を描いた設定からして怖いファイナルゲーム

「カイジ ファイナルゲーム」の設定は2020年、東京オリンピックが終了した後の日本だ。景気は急激に失速。富裕層と貧困層の格差は広がりに広がり、大多数の弱者は賃金を搾取され、身を寄せ合うように生きている。最終回は福本伸行が映画のために書き下ろしたオリジナルストーリーだが、コロナ禍になる前の世界に書かれていたものだと思うと設定からしてヒリヒリさせられる。

カイジはキツい労働を終えてギャラがピンハネされ、インフレで値上がりしているためビールも飲めない過酷な状況にイライラマックス。ファッションも定番のネルシャツにジーンズ姿で、オープニングから「カイジ、出た！」感が満載だ。映画が始まってから速攻、＂カイジシリーズ＂の世界観に引き込まれるのも、さすがは世代を超えて愛されているヒット作。さっそく「億万長者になるチャンスだと思わないか？」という話が持ちこまれ、シリーズで鍛えられた鉄骨渡りへのチャレンジが序盤で登場するのも期待を裏切らない。

■舞台仕込みの藤原竜也の熱い演技が炸裂！

蜷川幸雄や唐十郎など、レジェンドの演出家に鍛えられて育った藤原竜也だからこそ舞台仕込みの緊迫感溢れる演技が生まれた。カイジに復讐しようとする若者たちをクズ呼ばわりするシーンも早口でまくしたて、何回、言ったのかわからなくなるぐらい＂クズ＂を連発。吉田鋼太郎や福士蒼汰と真向から対決するシーンもど迫力だ。

窮地に追い込まれれば追い込まれるほど、頭がフル回転するカイジの這い上がり精神や周りがあきらめても最後まで絶対にあきらめない強さはシリーズに共通する魅力で、どの映画から見ても楽しめるし、全作品を制覇するとキャストや伏線など、いろいろな角度からニヤリとさせられる。愛すべきワーキングクラスヒーロー・カイジが毎回、大奮闘。ちなみに最終シリーズでも名言「キンキンに冷えてやがる、悪魔的だ～！」は健在だ。

文=山本弘子

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