藤原竜也と渡り合う!映像化不可能と言われた映画で光る西野七瀬土屋太鳳の存在感

「鳩の撃退法」
「鳩の撃退法」

作家・佐藤正午の中でも最高傑作との呼び声高いミステリー「鳩の撃退法」。虚構と現実、過去と未来を行き来し、先の読めない展開で多くの読者を魅了するとともに、"映像化不可能"と言われてきた同小説が、約7年の月日を経て、藤原竜也主演で映画化された。

主人公となるのは、藤原扮する、かつて直木賞を受賞した天才作家・津田伸一。とあるバーで、担当編集者の鳥飼なほみに、書きかけの新作小説の原稿を見せている場面が映し出される。その小説には、富山の小さな街で働いていた津田自身の経験を基に、彼が巻き込まれた"ある事件"を題材にして物語が綴られていた。

ところが読めば読むほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。訝しむ鳥飼が事件を検証してうちに、予想もつかない真実へと辿り着くことに...というのがストーリーの大筋だ。

藤原竜也が観客を翻弄していくような演技を見せた「鳩の撃退法」
藤原竜也が観客を翻弄していくような演技を見せた「鳩の撃退法」

(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

今から1年前、富山にある風俗店の送迎ドライバーとして暮らす津田のもとに偶然転がり込んできた大金、ある一家の失踪事件、裏社会のドン――物語が進むにつれ、様々なピースが徐々に繋がっていく内容で、随所に張り巡らされた伏線、終盤に明るみになる真実など、本格的な謎解きが最大の魅力といえる。

膨大な情報が目まぐるしく押し寄せてくるため、一度見ただけでは完全に読み解くことは難しく、何度も見たくなるのが本作の特徴。実際、劇場公開時には繰り返し映画を観賞し、考察をSNS上にアップする熱心なファンも散見され、思考することを楽しんだ人は多かったようだ。

そんなストーリーに加えて、役者の怪演もまた観客を翻弄。これまで数多くの出演作で、ミステリアスな役どころを演じてきた藤原は、のらりくらりとした佇まい、時には奇妙な薄ら笑いを浮かべるなど、信用ならない主人公・津田を体現し、見るものを惑わしていく。

そんな津田と劇中で渡り合っているのが、西野七瀬が演じたコーヒーショップ店員・沼本。津田を気にかける素振り見せたかと思えば、彼の隠していることや謎に気付く冷静な一面もあり、どこか虚な目をしたミステリアスな表情が印象深い、物語の鍵を握る人物だ。

西野といえば近年は幅広い役に挑み、女優としてステップアップしている最中。本作でもどこか野暮ったい雰囲気を残しつつも、何か裏がありそうな彼女の二面性を巧みに演じ分けており、新たな一面を見ることができる。

「鳩の撃退法」
「鳩の撃退法」

(C)2021「鳩の撃退法」製作委員会 (C)佐藤正午/小学館

一方、土屋太鳳もキーパーソンの一人であり、謎めいた人物に翻弄されながら物語の核に迫っていく担当編集者・鳥飼を演じている。

小説の内容は本当なのか、ウソなのか?と、観客と同じ目線に立つ代弁者的なキャラクターで、藤原を相手に小気味良く言葉を交わし合い、境界線が曖昧な展開の中で、謎に飲み込まれていく様を絶妙に体現。津田に振り回されながらも、知りたいことに対して貪欲に突き進む鳥飼の姿は、まさに土屋の真骨頂といったところ。真っすぐで、はつらつとした彼女自身の魅力とも相まって、血の通ったキャラクターへと昇華させている。

複雑なストーリー構造に加え、役柄が憑依したかのような俳優たちの怪演によって、見るものを深淵なる謎解きの沼へと誘っていく『鳩の撃退法』。一度見ただけで、その真実に辿り着けるか――自分の考察が試されているような感覚に陥る、不思議な映画体験が味わえる。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

鳩の撃退法
放送日時:2022年4月2日(土)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム
放送日時:2022年4月2日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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