上野由岐子の魂を揺さぶる投球を目撃せよ!

「上野の413球」。新語・流行語大賞の特別賞を受賞した、この言葉を覚えている人は多いだろう。2008年の北京五輪、日本のソフトボール金メダル獲得は、エース上野の投球なくして語れない。準決勝のアメリカ戦、延長9回(ソフトボールは7回まで)に痛恨のホームランを浴びて完投負けすると、同日に行われたオーストラリアとの3位決定戦(決勝進出決定戦)にも上野は先発。延長12回を投げ抜いてサヨナラ勝ちを呼び込んだものの、計318球を投げた上野の体は悲鳴をあげていた。股関節を亜脱臼していたのだ。とても出場は無理と思われた翌日のアメリカとの決勝戦。それでも上野は先発して完投勝利し、日本に初の金メダルをもたらした。上野が2日間に投げた球数は413球にも達し、往年の野球の大投手・稲尾和久になぞらえて、「神様、仏様、上野様」とマスコミは絶賛した。

まさに身を粉にして金メダルを獲得した上野だったが、ソフトボールは北京大会を最後に、五輪競技から外れてしまう。上野も日本代表から2年以上遠ざかり、燃え尽きてしまったかと思われた。だが、鉄腕・上野は死んでいなかった。2010年のアジア大会で代表に復帰すると、世界最速121キロのストレートを武器に金メダルを獲得。2012年の世界選手権では4連投の活躍でアメリカの8連覇を阻み、42年ぶりの優勝。2014年の世界選手権でも3連投でアメリカを撃破し、連覇を果たした。2016年の世界選手権ではアメリカに屈して準優勝に終わったが、日本リーグでは前人未到の通算200勝を達成している。

北京五輪で世界の頂点を制したとき26歳だった上野も今年で36歳になる。女子アスリートとしては引退していても当然の年齢だ。だが、上野の闘志は衰えていない。2020年の東京五輪でソフトボールが追加種目に決まったからだ。上野は12年ぶりの五輪金メダルをしっかり見据えている。そのためには永遠のライバル、アメリカを倒さなくてはならない。上野のソフトボール人生は打倒アメリカの歴史と言っても過言ではないのだ。6月20日(水)からの日米対抗ソフトボール、そして8月に千葉で開催される世界選手権でアメリカを破り、2年後の東京五輪へ突き進むのが上野の金メダルロードだ。確かに全盛期に比べれば球速は落ちているかもしれない。だが、上野には北京五輪後の10年で身につけた豊富な経験がある。そして1球、1球、すべてに魂を込める気迫の投球は変わっていない。日米対抗ソフトボールで、日本のソフトボール界を背負ってきた上野の生き様を感じるピッチングをぜひ目撃してほしい。

文=エンターバンク

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放送情報

日米対抗ソフトボール2018

放送日時:2018年6月20日(水)18:30~

チャンネル:日テレジータス

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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