ジミ・ヘンドリックスが"永遠のギターヒーロー"とリスペクトされ続ける理由

永遠のギターヒーロー、ジミヘンことジミ・ヘンドリックス。ロックギタリストの神的存在であり、超大物アーティストたちに影響を与えたのはもちろん、いまなおギター初心者が映像を見ても「1960年代にこんな凄すぎるギタリストがいたのか？」と衝撃を受ける。そんな天才ギタリストが27才の若さでこの世を去って49年。

2018年の終わりには彼の出身地であるアメリカのシアトルの郵便局が天才ギタリストに敬意を表し、その名を「ジェームズ・マーシャル・"ジミ"ヘンドリックス郵便局」に変更することを発表した。最近も「サマーソニック2019」に出演した24才のギター・ヒロイン、タッシュ・サルタナが"ジミヘンの再来"と評されるほどの不滅のレジェンド。これほどまでリスペクトされ続ける理由とは？

■エレキギターの可能性と破壊力を伝えた革命児

ジミ・ヘンドリックスといえば「ステージでギターを燃やした男」、「歯弾き」「背中弾き」などの今の時代にも引き継がれるぶっ飛んだパフォーマンスが有名だが、それは彼が生みだした技の氷山の一角に過ぎない。彼のトレードマークは、フェンダーのストラトキャスターにマーシャルのアンプ。エフェクターを多用し、特にファズを使い大音量で歪ませたギターサウンド、キャッチーなリフは1960年代後半、革命的であり、当時のロックキッズをたちまち虜にした。

挑発的なステージアクトもあり、攻撃的で派手なギタリストの側面から取り上げられることもあるが、少年期からブルース、ロックに傾倒していたジミヘンはスキルの高いギタリストでもあり、その上で2度と再現できないと言われていたアドリブ中心の演奏、つまり神プレイの連続でリスナーを圧倒した。

決してただのぶっ飛んだギタリストではなく冷静さと緻密さも持ち合わせていることはジミヘンがギターを弾いている佇まいからも伝わってくる。ブルースとロックを融合させ、さらにファッションにこだわり、ギターをかまえるパフォーマンスのフォルムの美しさにも意識をめぐらせていたであろうジミヘン。ここまでのスーパースターになるには発想も実力も色気も不可欠であるということを教えてくれる存在である。

■影響を与えたアーティストが大物すぎる！

ジミヘンに衝撃を受けた大物ミュージシャンを挙げていくと書ききれないほど。同時代に活躍していたギター・ヒーロー、エリック・クラプトンやジェフ・ベックもそのギタープレイを聴いて「別次元」、「かなわない」、「ギタリストをやめようと思った」と言ったという言葉が残っている。

ビートルズのジョン・レノン、ポール・マッカートニーもリスペクトの念を表し、のちの1980年代のスーパースター、プリンスも強く影響を受けたアーティスト。その華やかなステージアクトや作詞、作曲、アレンジもこなすマルチな才能（ジミヘンは秀れたコンポーザーでもあった）もジミヘンの在り方と切っても切り離せないだろう。

同じく1980年代にロックシーンに衝撃を与えた革命児的バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの元ギタリスト、ジョン・フルシアンテもそのひとり。日本のミュージシャンでもその影響を受けたギタリストは挙げればキリがないだろう。ジミ・ヘンドリックスの命日、9月18日が今年もやってくる。掛け値なしの天才のプレイは永遠に不滅だ。

文＝山本弘子

この記事の全ての画像を見る