【タカラヅカ】星組・紅ゆずる綺咲愛里コンビお披露目「THE SCARLET PIMPERNEL」

「THE SCARLET PIMPERNEL」 紅ゆずる
「THE SCARLET PIMPERNEL」 紅ゆずる

ミュージカル「THE SCARLET PIMPERNEL」はバロネス・オルツィの小説「紅はこべ」を原作とする冒険活劇だ。もともとブロードウェイで上演されていたものを、小池修一郎の潤色・演出により2008年に星組で初演。大好評を博し、2010年には月組でも再演された人気作品である。作曲家フランク・ワイルドホーンによる楽曲の高揚感が、この作品にぴったりだ。「ひとかけらの勇気」「炎の中で」など、一度聞けば思わず口ずさみたくなる名曲が続く。

「THE SCARLET PIMPERNEL」

THE SCARLET PIMPERNEL Book and Lyrics by Nan Knighton Music by Frank Wildhorn Based on the Novel "The Scarlet Pimpernel" by Baroness Orczy Original Broadway Production Produced by Radio City Entertainment and Ted Forstmann With Pierre Cossette, Bill Haber, Hallmark Entertainment and Kathleen Raitt (C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

時は18世紀末、フランス革命後の恐怖政治の時代。パーシー・ブレイクニー(紅ゆずる)は、一見狩りとクリケットにしか興味がなさそうな典型的なイギリス貴族。だが、秘密の組織「スカーレットピンパーネル(=紅はこべ)」という裏の顔を持ち、フランス貴族たちを粛清(しゅくせい)の嵐から救い出していた。ロベスピエール(七海ひろき)の懐刀である公安委員のショーヴラン(礼真琴)も、ピンパーネル一味にはしてやられてばかりだった。

しかし、パリの人気女優の座を捨ててパーシーと結婚したマルグリット(綺咲愛里)には、夫の真の姿は知らされず、夫婦の間にはいつしか隙間風が吹くようになっていた。彼女には、かつて革命の闘士としてショーヴランと共に戦っていた過去があった。ショーヴランは、マルグリットの弟・アルマン(瀬央ゆりあ)を捕らえ、「弟の命を助けたかったらピンパーネルの正体を探り出せ」と彼女に脅しをかける。

THE SCARLET PIMPERNEL Book and Lyrics by Nan Knighton Music by Frank Wildhorn Based on the Novel "The Scarlet Pimpernel" by Baroness Orczy Original Broadway Production Produced by Radio City Entertainment and Ted Forstmann With Pierre Cossette, Bill Haber, Hallmark Entertainment and Kathleen Raitt (C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

この作品は星組の新トップコンビ、紅ゆずる&綺咲愛里のお披露目公演。新トップスターとなった紅ゆずるにとって、「THE SCARLET PIMPERNEL」は転機となった作品でもある。タカラヅカには、入団7年目までの生徒だけで本公演と同じ演目に挑戦する「新人公演」という機会があり、そこで主演を務めることがトップスターへの登竜門となる。だが、その華やかな容姿とユニークな個性で注目されていたものの、決して優等生ではなかった紅には、なかなか役がつかなかった。

その紅が7年目のラストチャンスで主役をつかんだのが、2008年の「THE SCARLET PIMPERNEL」初演でのことだった。初主演とは思えない舞台度胸でパーシー役を演じ切った紅は、以降スターダムを駆け上がることになる。そんな思い出の役を、トップお披露目公演で再び演じることになったのだ。

「THE SCARLET PIMPERNEL」 綺咲愛里

THE SCARLET PIMPERNEL Book and Lyrics by Nan Knighton Music by Frank Wildhorn Based on the Novel "The Scarlet Pimpernel" by Baroness Orczy Original Broadway Production Produced by Radio City Entertainment and Ted Forstmann With Pierre Cossette, Bill Haber, Hallmark Entertainment and Kathleen Raitt (C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

2つの顔を持つパーシー役はその演じ分けが見どころの1つだが、タカラヅカらしいノーブルな雰囲気と、ユーモラスな個性を併せ持った紅にはハマり役で、そのギャップの魅力を存分に発揮。今回放送される公演では千秋楽ならではのアドリブも満載だ。一方、可憐なイメージが強かった綺咲にとって、大人の女性であるマルグリット役は挑戦でもあったが、新境地を開いている。

主役カップル以外も見どころ満載だ。抜群の歌唱力を持つ礼真琴は、ショーヴランの苦しい思いを切々と歌い上げ、敵役だがパーシーにやり込められる場面の間抜けっぷりで、単なる憎まれ役で終わらない人間味を見せている。今回からソロ曲が追加され、見せ場が増えたロベスピエールは、七海ひろきがクールに好演。また、信頼関係で結ばれたアルマン(瀬央ゆりあ)と恋人のマリー(有沙瞳)の微笑ましさは、主役カップルと好対照となっている。そして、パーシーを支えるピンパーネル団の面々として、星組の男役スター陣が勢ぞろいするさまは壮観の一言。痛快なストーリー展開、心躍る楽曲の数々、観ればきっと気分がスカッと元気になれるはずだ。

文=中本千晶


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放送情報

『THE SCARLET PIMPERNEL』('17年星組・東京・千秋楽)

放送日時:2018年7月8日(日)21:00~

チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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