倍賞千恵子が松竹歌劇団を語る「私の青春でした」

日本を代表する女優・倍賞千恵子さん。映画デビュー前夜の'60年、松竹歌劇団(以下SKD)の一員として出演した歌劇「第二十九回 東京踊り」の模様を記録した、貴重な同名映画が衛星劇場で放送される。

「中学生まで童謡歌手をしていましたが、親に勧められて入ったSKDの養成学校で、歌も三味線も太鼓も習いました。踊りも、タップダンスにクラシックバレエ、日舞とね。今につながる基礎をたたき込まれたと思いますが、何より、学校でお掃除やあいさつを厳しく習えたことは、本当にありがたかったなと思っています」

倍賞千恵子も出演した「第二十九回 東京踊り」より

©1960松竹株式会社

当時の東京は、有楽町の宝塚と浅草のSKDが人気を二分し、女性たちが歌と踊りで魅了するレビュー興業の全盛期。

「ハナ肇とクレージーキャッツさんや、フランク永井さんの歌と、レビューと、間に映画も上演して、私たちはお正月に1日3回公演でした。『東京踊り』は全16景(場)あるので早回りが多くて...三味線弾いて出た後に、パッと着替えてバレエ、ラインダンスして...と慌ただしかったです。先輩より先に舞台袖で準備して『失礼します!』って踊るんですけど、一度、ダンスで靴を客席に飛ばしちゃったんです。そうしたら、お客さんが靴を投げ返してくれて、手元に戻ってきたことがありました(笑)。恥ずかしかったし、公演後は先輩の楽屋に謝罪回りでしたが客席から『頑張れよー!』なんて声援が飛ぶのは下町っぽくて、山の手の宝塚とは雰囲気も違っていたと思います」

「男はつらいよ お帰り 寅さん」より

©2019松竹株式会社

本拠地だった浅草国際劇場は'82年に閉鎖され、SKDも'96年に解散となったが、同窓生との絆は今でも強いと語る。

「『同じ釜の飯を食った仲間』ですから。私は1年で松竹映画に声を掛けられてそっちの世界に行ってしまったので、SKDは学校も合わせて4年ほどでしたが、私の青春ですね。『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく』('78年)ではSKDダンサー役の木の実ナナさんの公演を国際劇場に見に行く場面があって、懐かし過ぎて泣きそうでした。建て変わったホテルでディナーショーもさせていただいたし、私の芸能生活は、国際劇場を中心に回っているんだなと、感慨深かったです」

ばいしょう・ちえこ●'41年6月29日生まれ、東京都出身。'61年、松竹で映画初出演、翌年歌手デビューを果たす。以降、映画「男はつらいよ」のさくら役に代表される庶民派女優として、歌手としても親しまれ活躍中。

撮影=宮田浩史 取材・文=magbug ヘアメーク=徳田郁子

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放送情報

男はつらいよ お帰り 寅さん
放送日時:2020年10月3日(土)10:30~
第二十九回 東京踊り
放送日時:2020年10月5日(月)15:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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