名曲「あなたに会えてよかった」も耳に残る...田村正和小泉今日子の素敵な「恋人父娘」ぶり

「パパとなっちゃん」
「パパとなっちゃん」

今年4月に急逝した名優・田村正和。映画界からテレビドラマに軸足を移した後、「眠狂四郎」シリーズに代表される時代劇を中心にしながら、独自のダンディズムに彩られた唯一無二のポジションを確立させた。その後、TBS系の名作ドラマ「うちの子にかぎって...」(1984年)を機に、自身の美貌を逆手に取ったコミカルな演技にも挑戦し、それまでのニヒルな印象を覆す、"子供に振り回される憎めない大人"という新たな魅力を開花させた。

1980年代には、「パパはニュースキャスター」(1987年)などでの"パパ役"がアタリ役となり、ヒット作を連発。その流れを受け1991年4月に放送されたのが、"花の82年組"でデビューし当時アイドルとしての成熟期を迎えていた"キョンキョン"こと小泉今日子との共演が話題を呼んだ「パパとなっちゃん」だ。

同作で、田村は一人娘・夏実(小泉)を溺愛するパパ・五郎を演じた。カッコつけたがりだけけれど心配性、そして誰よりも夏実を大切に思っている――田村が作り上げたそんな愛らしいパパ像は、放送から30年経った今見ても実にチャーミングだ。そんな名作「パパとなっちゃん」が、8月23日(月)からTBSチャンネル2で放送される。

田村正和&小泉今日子の恋人のような親子関係に注目「パパとなっちゃん」

この物語の楽しさはまず、田村正和という俳優のギャップを存分に楽しめること。

妻亡き後、独身を通している五郎。ダブルのスーツをカッコよく着こなすハンサムさを、世の女性たちが見逃すはずはない。劇中、女性たちにグイグイとアプローチされタジタジになっている姿には、モテ男ならではの優柔不断さが垣間見えてクスッとさせられる。

また、娘・夏実が20歳の誕生日を迎えた日から25歳で嫁ぐ日までを描いた物語で、"男手一つで娘を育ててきたシングルファーザー"という当時としては珍しい設定も、父娘の関係をダイレクトに見せるひと工夫。外ではカッコいい五郎の、心配性で愛らしい内面とのギャップを浮かび上がらせるのに成功している。

そして夏実とのシーンでは、父親らしい深い愛情が胸を打つ。夏実のちょっとした一言や涙、ひとにらみに一喜一憂したり、天にも昇る気持ちになったり、絶望のふちに落とされたりする五郎の気持ちが、手に取るように伝わってくる。

「パパとなっちゃん」

第1話では、20歳の誕生日に失恋した夏実を心配するあまり、何もできない自分へのいら立ちを夏実本人にぶつけてしまうという不器用ぶりを見せた五郎。だが最後には「夏実がさ、傷ついて悲しいだろうなぁ、つらいだろうなってわかっても、何もしてやれなくて。何もしてやれない自分に腹が立って。要するに、だらしないんだな。ハハッ」と照れくさそうに打ち明けた。

ヤキモチも逆ギレもするけれど、最後には掛け値なしの愛情で夏実を包み込む五郎。そして、なんだかんだ言いながらもそんな五郎を信頼し、正直に真正面から向き合おうとする夏実。2人の素敵な父娘関係は放送当時から「まるで恋人同士みたい」と話題を呼んだ。

また、小泉の主題歌「あなたに会えてよかった」も累計158万枚のミリオンセラーとなるほどの話題を集めた本作。放送から30年を経てもまったく色あせず、互いを思い合う家族の素晴らしさと安らぎを描き出した名作が、疲れた現代人の心もきっと優しく癒やしてくれるに違いない。

文=酒寄美智子

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放送情報

パパとなっちゃん
放送日時:2021年8月23日(月)~27日(金)23:00~(2話連続放送)
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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