ミステリアスな吉高由里子に翻弄される?妻夫木聡主演のラブサスペンス

2020年にTBS系の日曜劇場枠で放送されたドラマ「危険なビーナス」。ベストセラー作家・東野圭吾の同名小説が原作で、ある失踪事件をきっかけに、主人公が謎の美女と共に遺産をめぐる名家の争いに巻き込まれていくサスペンスだ。緻密なトリックや独特の世界観、魅力的な人物像を駆使してヒット作を量産している東野作品が原作だけに、本作も放送前から大いに期待感があった。

脚本を担当したのは黒岩勉で、TBS系で放送中の「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」をはじめ、「グランメゾン東京」や映画『キングダム』などの話題作を続々と手がけてきた気鋭の脚本家である。ミステリー作品も得意とするだけに、黒岩が東野作品をどう味付けするかも興味深いところだった。

「危険なビーナス」に出演した妻夫木聡と吉高由里子

(C)東野圭吾/講談社 (C)共同テレビ/TBS

個性的なキャラクターが登場するのも魅力の東野作品。主人公・手島伯朗(てしま・はくろう)を妻夫木聡が演じている。正義感が強く、ウソのつけない独身の獣医師で、動物病院の院長代理を務めている。困っている女性にめっぽう弱い性格がポイント。ミステリーの主人公ながら、ややコミカルな印象もある妻夫木の演技は新鮮だった。

本作の肝となった伯朗の前に突然現れる謎の美女、矢神楓(やがみ・かえで)を演じたのは吉高由里子で、意外にも妻夫木との共演は本作が初めて。楓は明るく聡明で極めて魅力的だが、どこかミステリアスな影を持った女性だ。突然出現したこの「危険なビーナス」に、伯朗は大いに翻弄されることになるのである。

(C)東野圭吾/講談社 (C)共同テレビ/TBS

さて、伯朗の異父弟・明人の妻を名乗る楓が、「夫が失踪した」と伯朗に連絡をしてくるところから物語は幕を開ける。明人は伯明の母が名家・矢神家の御曹司と再婚してから生まれた弟だ。母の死後、矢神一族とは疎遠になっていた伯朗だが、突然現れた「弟の妻」を名乗る楓から失踪した明人を一緒に捜して欲しいと依頼される。

じつは矢神家は大財閥で、明人は総額30億という遺産の相続権を持っていた。折しも現当主が危篤状態に陥ったことで、遺産を狙う親族の誰かが明人を誘拐したのでは、と疑念を抱く楓。美人に弱い伯朗は、楓の頼みを断れず、明人の行方を一緒に追うことになる。こうして伯朗は、図らずも矢神家の相続争いに巻き込まれてしまうのだが、楓と行動を共にすることで、彼女の魅力に次第に惹かれていくのと同時に、楓が本当に「弟の妻」であるかどうかに疑いを持つようになる。さらに、明人の行方と矢神家を取り巻く謎と人間の欲望が絡み合うという壮大なストーリーだ。

(C)東野圭吾/講談社 (C)共同テレビ/TBS

共演には、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アンといった実力派に加えて、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世らのベテラン陣が脇を固める。さらには福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)ら意外なキャストの登場も楽しいところだ。

複数の謎が絡むミステリードラマでありつつ、楓と伯朗を巡るラブサスペンスになっているところも本作の魅力。そして、謎めいたヒロインを演じる吉高の演技が抜群だ。2013年の映画『横道世之介』で、毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した頃から演技力に一段と磨きがかかり、その後も2014年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」、2019年のドラマ「わたし、定時で帰ります。」といった話題作に続々と主演して評価を高めた。

そんな吉高の女優としての魅力が炸裂しているとも言える「危険なビーナス」が、TBSチャンネル1で放送される。セリフのない場面でも、微妙な視線で心情を表現するなど、丁寧な演技により視聴者を魅了するはず。本作を一度見たという人も、あらためて吉高の魅力に気づかされるかもしれない。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

この記事の全ての画像を見る

放送情報

危険なビーナス
放送日時:2021年9月18日(土)10:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物