サングラスに無精ひげ...松坂桃李がワイルドな姿で挑んだ刑事役

松坂桃李
松坂桃李

『仁義なき戦い』などに代表される「東映実録路線」を現代によみがえらせた白石和彌監督、役所広司主演の映画『孤狼の血』は、コンプライアンスに縛られた現代社会に真っ向から挑戦状をたたき付け、第42回日本アカデミー賞をはじめとしたその年の映画賞を総なめにした快作だった。そして同作に登場したエリート新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)を主人公にした続編が『孤狼の血 LEVEL2』だ。

『孤狼の血 LEVEL2』に出演した松坂桃李
『孤狼の血 LEVEL2』に出演した松坂桃李

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

前作では、広島の架空都市である呉原市を拠点とする暴力団「尾谷組」と、県内最大の広域暴力団「広島仁正会」による壮絶な抗争劇が描かれたが、続編となる『LEVEL2』はそこから3年が過ぎた世界が舞台となる。手段を選ばない捜査方法から、やくざとの癒着などの黒い噂の絶えない大上刑事(役所)の"血"を受け継いだマル暴刑事の日岡は、裏社会の顔役として、警察、暴力団の双方から一目置かれる存在となっていた。だが五十子会の構成員・上林(鈴木亮平)が出所したことにより、呉原市は再び血で血を洗う抗争が沸き起こり、混乱に陥ることとなる。

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

この続編に挑むにあたり、白石監督からは「今回は日岡の負け戦の物語だから」と言われたという松坂。もともと前作では、優等生的キャラクターとして登場していた日岡刑事だが、本作ではサングラスに無精ひげというワイルドな姿に激変、髪をバッサリ切って挑んだ。また生き馬の目を抜く裏社会に生きる男の"飢え"を表現するため、身体も絞って役に挑んだという。ビルの3階からワイヤーをつけて飛び降りるアクションや、激しい肉弾戦のバトルなども自身で行った。

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

一方、そんな日岡と対極的な役柄となるのが、鈴木演じる最強の敵、上林成浩だ。白石監督から「日本映画史に残る悪役を」という命を受けた鈴木は、信念を持った悪。まさにモンスターと呼ぶにふさわしい狂気の芝居で画面狭しと暴れ回り、悪魔的な恐怖とともに日岡に襲いかかった。この鈴木の振り切った芝居は、ちょうど本作の劇場公開時と時期を同じくして放送されていたテレビドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」における、頼りがいのある心優しき医師の役柄とはまったくの真逆のベクトルの役柄となっており、「この落差がすごい」と話題になるほどに強烈なインパクトを残した。

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

そんな鈴木の怪演は早くも、報知映画賞、毎日映画コンクールをはじめとした今年の映画賞を騒がせ始めているが、この報を受けた鈴木はTwitterで「『上林』という人間が存在できたのは、常に芯に立ち大きく受け止めてくれた松坂桃李君のお陰」と語っている。その言葉通り、受けの芝居に定評のある松坂。テレビドラマ「あのときキスしておけば」の井浦新、『空白』の古田新太、そして本作の鈴木亮平や、前作の役所広司などの例を挙げるまでもなく、松坂の受けの芝居は、相手のパワーが強ければ強いほど、相手を輝かせ、かつ自分自身も輝かせることになる。

それゆえ、白石監督自身、パンフレットのインタビューでは「日岡はここではまだ本当の物語の主人公たりえていない。それを決着させるならどこかで日岡に向き合わないといけない」と語っている。そして今後、『孤狼の血』第3弾の製作も決定したということで、また新たな日岡の姿が見られることが期待できそうだ。

文=壬生智裕

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放送情報

孤狼の血 LEVEL2
放送日時:2022年1月22日(土)22:10~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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