史上初の女性棋士へ!西山朋佳女流三冠の歩みを振り返る

史上初の女性棋士を目指すのが西山朋佳奨励会三段(女王・女流王座・女流王将)だ。

女流棋士は将棋界に数多いが、男性のプロ棋士(四段以上)とは別の規定となっている。プロ棋士になるには基本的に奨励会を卒業するしかない。奨励会に入る女性は数年に1人程度のペースでいるものの、これまで四段は誕生しておらず、大半が後に女流棋士として活躍している。

■女性として最年少で三段に昇段

西山は大阪狭山市出身。近所には室谷由紀女流三段が住んでおり、幼少の頃からの付き合いだそうだ。

西山は奨励会受験組ではなく、研修会(奨励会のさらに下の位置付けで、最高クラスに到達すると奨励会に編入できる)から入会を果たした。アマチュア時代には中学生の全国大会女子の部で優勝している。研修会では受験から怒涛の勝ちっぷりであっという間に最高クラスに到達。

順調に昇級、昇段を重ね、2014年1月に初段。高校卒業とともに進学で関東に移籍した。その後の二段、三段も女性としては最年少で到達。最後の関門三段リーグに臨むことになった。三段リーグは30人ほどが参加して半年掛けて18局を戦い、上位2人が昇段(もしくは次点2回)となる。

西山の棋風はパワーのある振り飛車党。早指しでパンチを繰り出す豪快な棋風にはファンも多い。現在は中飛車や三間飛車を得意としている。

悲願の四段を目指す西山朋佳女流三冠

(C)囲碁・将棋チャンネル

■各種棋戦で活躍を見せる

西山は奨励会員として例会に参加するとともに、女流棋戦にも参加。当初は実力の割に勝てず、タイトル獲得に時間が掛かったものの2018年に初タイトルの女王を獲得。2019年には女王の防衛戦、そして女流王将戦、女流王座戦にも挑戦。いずれも里見香奈を下し、参加できる女流棋戦のタイトルをすべて獲得した。

三段リーグでは2度勝ち越しがあったもののなかなか昇段争いに絡めず苦戦していたが、8期目となる第66回三段リーグ(2019年10月~2020年3月)で爆発。前半戦から星を伸ばし、最終日を前に3位に付けた。史上初の女性棋士誕生なるかで注目を集めた最終日、西山は見事に2連勝でフィニッシュするものの、競争相手が連勝。前期の成績による順位の差で届かなかった。成績は14勝4敗で次点。通常は13勝5敗が昇段ラインとなるので、運が悪かったと言える。

女流タイトルホルダーとして各種棋戦にも参加。現在行われている第33期6組竜王戦ランキング戦では女性として史上初のベスト4に進出するなど、各種棋戦で活躍を見せている。

そして第67回三段リーグには順位1位として参加。年齢制限の26歳まで残り3期(ただし、年齢制限になっても勝ち越せば延長できる)と余裕はないが、前期次点を取ったため3位以上になれば悲願の四段となる。新型コロナウイルスにより開幕が延期となる事態になっているが、快挙なるか注目のリーグだ。

文=渡部壮大

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放送情報

めざせプロ棋士1009 第65回 奨励会 西山朋佳三段 vs 古田龍生三段 片山史龍初段 vs 小山泰希初段
放送日時:2020年5月2日(土)2:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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