小池徹平の役者魂が垣間見える!麒麟・田村裕のベストセラー自伝小説を原作とした映画「ホームレス中学生」

お笑いコンビ・麒麟の田村裕による自伝小説を映画化した「ホームレス中学生」。普通の中学生がある日突然ホームレスになる、という衝撃の実話を元にした原作は200万部を超えるヒットを記録。そんなベストセラーの映画化に挑んだのは、当時22歳で中学生役を演じることになった小池徹平だ。

終業式を終えて帰宅した中学生の裕(小池)は、自宅の家具や荷物が全て外に出され、玄関に差し押さえのテープが貼られた光景を目にする。ほどなくして帰宅した兄や姉と共に途方に暮れていると、そこに父親が現れ、「解散!」という一言を残して去っていってしまう。帰る家をなくした裕は、兄や姉と離れて一人で生きることを決意。荷物を抱えて彷徨っていた彼は町の公園にたどり着き、そこで野宿を始めることになる。

小池徹平が本作の主演を務めることになったのは、原作者である田村の指名があったからだという。原作が200万部超というミリオンセラー、しかも中学生でホームレスという難しい役柄で主役を務める小池のプレッシャーが大きかったであろうことは想像に難くない。当時22歳にして中学2年生の役を演じるということで一部では不安の声もあったようだが、小池の演技を見れば彼以外が演じる"たむちん"は考えられなくなるだろう。信じられないような状況でもたくましく生きる少年の姿をコミカルに演じたかと思えば、思春期という成長過程ならではの揺らぎや痛みもしっかりと表現している。特に映画ではホームレス生活そのものよりも、ホームレス生活を脱してからの主人公の悩みが色濃く描かれているが、小池の繊細な演技がそれを可能にしたと言えるだろう。

原作では公園で段ボールや雑草を食べて飢えをしのいだというエピソードが最も知られているが、それらはもちろん映画にも登場する。小池も映画の完成披露試写会で、段ボールについては「味がなかった」と話し、雑草に関しても「本当に草をちぎって食べた」と、役者魂を感じさせるエピソードを語っていた。また公開当時のインタビューでは「友人宅のお風呂でお湯に感動するシーンで、その感動をどう表現するか悩んだ」と語っており、日々の些細な出来事を見つめ直すようなシーンで役者としての苦労があったようだ。

(C)2008「ホームレス中学生」製作委員会

日々の些細な出来事として注目したいのは食べるシーンだ。前述の段ボールや雑草だけでなく、本作では小池が何かを口にするシーンが何度も登場する。毎日の食事にも事欠くような苦しい生活の中で、「食べる」ということは決して当たり前のことではない。食べることそのものが、裕のつらさ、喜び、そして言葉にならない思いを表現する手段として成立しているのだ。裕の感情を豊かに描き出す小池の食べっぷりにも、ぜひ目を向けてもらいたい。

文=本永真里奈

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放送情報

ホームレス中学生

放送日時:2022年1月10日(火)21:00~

チャンネル:WOWOWシネマ

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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