「水」は人にとって、また、あらゆる生命にとってなくてはならないもの。水道が整備された現代で水に困ることはあまりないが、料金を支払わなければ給水を止められてしまう。つまり、普通に生活できない状況に立たされる。そんな「水」という生命線を挟んで向かい合う、止める者と止められた者の葛藤と悲哀を描き話題となったのが、2022年に公開された映画「渇水」だ。
原作は1990年に第70回文學界新人賞を受賞した河林満の同名小説で、第103回芥川賞候補作にもなった。30年以上前の作品だが、作者自身、給水停止業務に関わった経験があり、止める側の苦悩や止められる側の反発、壊れていく生活などがリアルに描かれている。
給水を止める「停水執行」を業務とする主人公・岩切俊作を演じるのは生田斗真。雨が降らず給水制限が発令された真夏の前橋市が舞台で、岩切は日差しが照りつける中、停水執行のため街を駆け回る。
当初の岩切は淡々としていて、料金未納者の給水を止めることにあまり抵抗がないように見える。最初に停水執行し、「お支払い、お待ちしています」と言う時の表情は、「ルールを守らないそちらに問題がある」といった様子だ。車の中で同僚の木田拓次(磯村勇斗)に、ライフラインを止めるこの仕事をどうすれば好きになれるか問われても、渋い顔はするが「好きでやってるわけじゃない。けど、嫌いでもない」と答える。
放送情報【スカパー!】
渇水
放送日時:2024年1月28日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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