3つの人格を演じ分ける竹内涼真の圧倒的な演技力を見よ!ドラマ「ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~」

「ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~」
「ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~」

爽やかイケメンで演技力も抜群。昨年俳優デビュー10周年を迎え、ますます活躍が期待される俳優・竹内涼真。演技の幅も広く、今年放送のドラマ「Believe-君にかける橋-」では謎を秘めた刑事・黒木正興役を務め、その演技力が芸能ニュースやネットなどで大いに話題になった。

そんな竹内の演技の幅を目の当たりにできる作品として注目したいのが、2023年に放送されたヒューマンドラマ「ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~」だ。主演は沢村一樹で、かつては刑事だったが、何者かに妻を殺害されたことがきっかけで退職し、今は娘の音(畑芽育)と穏やかに暮らしている主人公・獅子舞亘役を務めている。

竹内が演じるのは、連続誘拐事件の容疑者として捕まった青年・元村周太。真面目で気弱そうな青年だが、防犯カメラに映った映像が証拠となって、物語の冒頭で逮捕される。
しかし、取り調べの最中に元村の様子はおかしくなる。威圧的な刑事に対して消え入りそうなほどに気弱な様子だった元村が、突然、声をあげて苦しみだす。そして顔を上げた次の瞬間には、口調も態度もまったく異なる暴力的な青年へと変化する。机を蹴飛ばし、掴みかかってきた刑事を壁に叩きつけるほどの変貌ぶりだ。
さらに頭を抱えて倒れ込んだ後は、体を丸め、指を落ち着き無く動かし、子供のような口調で早口で呟く、異様な人物へと変化する。

実は元村は、心の中にいくつもの人格があり、何かの拍子にそれが入れ替わる「解離性同一性障害(DID)」を抱えた青年だった。気弱な性格が本来の元村で、暴力的な人格は「バク」、天才的な知能を持つ自称7歳の人格は「カブト」という名がついている。

竹内がそれらの人格を、まったく違う口調、動作、空気で表現する演技力は「圧巻」というほかない。特に目の動き、そこから滲み出る雰囲気は人格によってまったく異なり、同じ元村という人間とは思えない変わりようだ。物語が始まって間もない場面でこれほどの演技を見せられたら、誰だって興味が引かれ、先が見たくなってしまうだろう。

そして元村の別人格のカブトが「獅子舞呼んで!」と要請したことで、沢村演じる獅子舞が捜査に参加することになる。妻が殺害されたことがきっかけで獅子舞の娘・音もDIDを発症していて、獅子舞はDIDに対する理解がある。獅子舞は元村をパートナーとして、連続誘拐事件の捜査を開始する。

誘拐犯を追うことももちろんだが、この物語にはもうひとつポイントがある。DIDによって生まれた人格は、それぞれ別の記憶を持っている。つまり本来の元村と、カブト、バクは、それぞれ持っている記憶が違う。本来の元村が知らないことでも、他の人格は知っているかもしれない。それぞれの人格が秘めているものを解き明かしていくところも、本作ならではの見どころだ。

カブトが防犯カメラの映像を解析したり、突然バクが現れて暴れ出したり。かと思うと、別の人格が出ている時は記憶が飛ぶため、まともな人付き合いができないと深い苦悩を見せる元村がいたり。竹内は頻繁に入れ替わる3つの人格を、秀逸な演技で見せてくれる。そしてそんな元村を優しく包みながら、獅子舞は事件解決に向けて捜査を進めていく。

元村が解離性同一性障害を発症した理由は何なのか、なぜ獅子舞のことを知っていたのか。多くの謎をはらみながら物語は進み、終盤、音と出会った時にさらに元村は変化を見せる。冒頭の取り調べからラストまで、複数の人格を見事に演じ分ける竹内の演技力を、じっくり味わいながら見てほしい作品だ。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~
放送日時:2024年9月2日(月)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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