1994年の俳優デビューから今年で30周年を迎えた竹野内豊。近年では「義母と娘のブルース」(2018年)での温かな愛に溢れた良き夫・良きパパぶり、「イチケイのカラス」(2021年)で見せた飄々とした"イケおじ"キャラも人気を得ている。
50歳を節目にフリーランスとなってからも、フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーブが主演を務める日本・仏・シンガポール共同制作の映画「Spirit World (原題)」に出演するなど、活躍の場を広げている。
そんな変化と挑戦を続ける竹野内が昨年、山田孝之とダブル主演を務めた映画が「唄う六人の女」(2023年)だ。10月6日(日)にWOWOWシネマで放送される本作は、人里離れた森の奥深くに迷い込んだ2人の男と、森に暮らす六人の女たちを巡る独創的で刺激的な物語となっている。
監督は、パフォーマンス集団・キュピキュピの主宰で異例のマネキン主演ドラマ「オー!マイキー」(2000年)など独特の世界観を持ち、幅広いジャンルで世界をフィールドに活躍する石橋義正が務めた。
ある日、40年以上も会っていない父親の訃報が入り、萱島は父親が遺した山を売るために生家に戻る。その土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島との契約手続きを終え、人里離れた山道を車で帰っている途中で事故に遭い、気を失ってしまう。目を覚ますと体を縄で縛られており、身動きができない。
そんな彼らの前に、この森に暮らす美しい六人の女たちが現われる。何を聞いても一切答えず奇妙な振る舞いを続ける女たち。異様な地に迷い込んでしまった萱島らは脱走を図るが...。
竹野内が演じたのは写真家の萱島森一郎。幼い頃に母と離婚してから40年以上も疎遠だった父が亡くなったとの知らせを聞き帰郷するが、深い森の奥の異様な世界に迷い込み監禁されてしまう。亡き父への複雑な思いを抱く萱島の、髭を蓄え疲れた顔に内に秘めた葛藤が滲む。異常な状況で女たちに翻弄され追い詰められていく様は真に迫り、リアルな表情から驚きや当惑が伝わってきた。
優男ながら冷静さを失わず正気を保つ萱島は、父の知らなかった一面に触れて自らの人生を振り返っていく。その中で変化していく心情を竹野内が繊細に表現した。優しく穏やかな声は、人間の確かな強さを感じさせる。狂気じみていく宇和島との対比も印象的だ。
放送情報【スカパー!】
唄う六人の女
放送日時:2024年10月6日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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