黒木瞳石田純一が共演でドロドロの愛憎劇を展開するドラマ「愛と憎しみの河」

渋沢病院の看護婦・杉原志津(黒木瞳)は、同じ病院に勤める医師・高木敏彦(石田純一)からプロポーズされる。二人はお互いに深く愛し合う仲で、求婚されて喜ぶ志津だったが、彼女は不安を抱えていた。なぜなら、院長の令嬢である智恵(岡本舞)が敏彦に思いを寄せていたことを知っていたからだ。悪いことに、智恵の母・泰枝(野際陽子)も智恵と敏彦を結婚させて、敏彦に病院を支えていって欲しいと考えていた。じつは後継者である息子の新一(宅麻伸)が、モトクロスに夢中で、医師としての本業をおろそかにしていたのだ。一計を案じた泰枝は敏彦を呼び出し、なんと智恵との結婚を迫ったのだ。もちろん敏彦は断ったのだが、その後も数々の困難が待ち受けていた...。

大映テレビお得意の、愛し合う2人の男女の仲を引き裂こうとするドロドロの展開が見どころだが、宅麻演じる新一のドラ息子ぶり、岡本演じる智恵のワガママ令嬢ぶりが、それぞれ絵に描いたようで、じつに憎らしい。さらに手ごわい院長婦人の泰枝を演じる野際陽子の演技も見事だ。後に同じTBS系の「ずっとあなたが好きだった」(1992年)で、佐野史郎演じる息子・冬彦を溺愛する母親役で大評判を呼ぶのだが、その礎が本作にあったのではないかとも思わせる。

アクの強い悪役たちに囲まれて、辛い目にも遇わされる2人の主人公だが、石田と黒木の好演もあり、視聴者は2人を応援する気持ちで画面に強く惹きつけられるはず。石田の凛々しい好青年ぶりも板についているし、理知的な雰囲気もあるので医者役が似合っている。黒木も儚げなヒロインを哀愁のある演技で巧みに表現している。宝塚歌劇団出身だけに、華やかな役柄もよく似合うが、本作のような薄幸なヒロインを演じても全く違和感がないのはさすが。

脚本を担当した大原豊は、大映テレビ製作の「江戸川乱歩シリーズ」や日活映画などで70年代から活躍したベテランで、1984年公開の大作映画「ヨーロッパ特急」(東宝)では監督も務めている。本作においても、昭和後期の作品特有の執拗な人物描写が冴えわたっている。

決して知名度の高い作品ではないものの、当時の時代の空気を色濃く感じられるドラマ「愛と憎しみの河」が、TBSチャンネル2で放送される。そのタイトル通りに愛憎劇のお手本のようなストーリーで、実力派俳優陣の奮闘ぶりなど見どころが満載な作品だ。

文=渡辺敏樹

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放送情報【スカパー!】

愛と憎しみの河

放送日時:10月2日(水)17:55~[全話一挙放送]

放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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