役所広司が、どこにでもいる"普通のおじさん"を好演し、最後まで自分事として視聴者を魅了した作品「Shall we ダンス?」

第20回日本アカデミー賞において、最優秀作品賞をはじめ主要部門の最優秀賞を独占した映画「Shall we ダンス?」がWOWOWにて放送される。本作でダンスにのめり込んでいく主人公を務めたのが、いまや日本映画界を背負う俳優として大活躍を見せる役所広司だ。

■"普通のおじさん"が、"普通のおじさん"のまま覚醒していく表現が圧巻

ダンスで手を取り合う杉山(役所広司)と岸川(草刈民代)
ダンスで手を取り合う杉山(役所広司)と岸川(草刈民代)

⒞1995 KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 日販

役所が演じる杉山正平は、会社の経理として真面目に働き、妻と一人娘のために郊外に念願のマイホームを購入した男。毎朝妻よりも早く起き出社し、きちんと家に帰ってくる。そんな良き夫が、ある時から少しずつ様子が変になる。

それは帰りの電車から見えるダンススクールの窓から外を見つめているミステリアスな女性・岸川舞(草刈民代)に惹かれ、ダンススクールに通うことになったからだ。

役所と言えば、主演映画「PERFECT DAYS」で、第76回カンヌ国際映画祭・男優賞を受賞したのをはじめ、映画賞受賞歴は枚挙にいとまがないほど日本を代表する俳優だ。そんな役所が40歳のときに本作は公開された。役所にとっては4度受賞している日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を最初に受賞した作品でもある。

劇中の杉山は、まったく色のついていない"普通のおじさん"だ。言い方を変えれば、何の特徴もないサラリーマン。そんな男が、最初はダンススクールから見える"きれいな女性"が目当てという、よこしまな思いでダンスを始めるが、そのことを舞にきつく諫められてから、何の変哲もないおじさんのスイッチが入る。

ここで役所がすごいのが、その変化をドラスティックに見せないところ。杉山のダンス仲間には、田口浩正、徳井優、竹中直人、女性陣も渡辺えり子など、これでもかというほどアクの強い俳優たちが集まっており、杉山までも"色"がつき始めてしまうと、作品としてのバランスが壊れてしまう。

かといってまったく変化しなければ、視聴者の劇的欲求に応えられない。そこを何気ないダンスの練習や、目線の動かし方などで、普通のおじさんを保ちながら、熱いものを滲ませる芝居は圧巻だ。この物語が最後までハートフルで、観ている人たちに自分事感を抱かせてくれるのは、役所の"普通"という天井を抜け出さない演技のおかげだろう。

■役所の脇を固める個性派俳優たちは、現在も大活躍!

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放送情報【スカパー!】

Shall we ダンス?
放送日時:11月8日(金)16:30~ 
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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