佐野広実原作の「誰かがこの町で」がWOWOWの連続ドラマWで12月8日から放送・配信される。
児童養護施設で育った望月麻希と弁護士事務所で働く真崎雄一が、19年前に失踪した家族の行方を探すうちに、かつてとある高級住宅街で起きた未解決の児童誘拐殺人が浮かび上がる。外界から隔離されたこの街で、何が起こったのか。そして、麻希の家族はどこにいるのか。
どこででも起こり得る社会性や人間性をテーマにした社会派サスペンスとなる本作で、真崎雄一と望月麻希を演じた江口洋介&蒔田彩珠の2人に話を聞いた。
――「誰かがこの町で」のオファーが来た時の印象や物語の感想は?
江口「最初に、ある町に起こった集団による同調圧力と忖度の恐怖を描いた社会派サスペンスといううたい文句にやってみようかなという思いを感じました。同調圧力から起こる事件ってものすごく多いだろうし、最近は映画でも取り上げる機会がだんだん増えてきています。その中で、今回の作品は地上波ではなかなか体験しないストーリーだと思うし、逆にどんなふうに映像化されるのか楽しみですね」
蒔田「今回は1つの街で起こったことでしたが、本質の大小は違っても例えばマンションだったり学校だったり、実はどこにでもある話をテーマにした作品だと思います。それもあって、内容が想像しにくいということはありませんでした。ただ、麻希は全く身内がいなくて、だからこそ自分の過去や家族について調べたいという少女でしたが、そこは今までに演じたことのない設定でした」
――撮影で苦労されたところやシーンはどこでしょうか?
江口「今回は本当に説明のせりふが多くて、ずっと喋っている感じでした。その上、地区長とか、副地区長なんかが言いづらくて(笑)。刑事モノだったら黒板を背にしながらガイシャは何とかでって言っていればいいんですが、普通の日本家屋で正座をしながら地区長はなんとかでってずっと喋らないといけないので、これは結構大変だぞと思いましたね。でも、あんまり大きな芝居をせずに、その内容だけを明確に伝えればいいと思って演じました」
蒔田「最初に撮影した真崎さんと出会った喫茶店のシーンです。台本も長いしキャラクターを掴まなければいけないということもあって全員が大変だったと思います。でも、そこでだいたいの距離感や空気感が把握できたからこそ、私自身ちゃんとキャラクターが作り始められたのかなと感じます」
――今回お2人が演じられた役には暗い過去を持つという共通点があると思いますが、演じる上で特に意識されたことはありますか?
江口「過去の事件もあって孤独な雄一ですが、多分この男だったら人と接触しないように、人とのいざこざをもうこれ以上は起こさないように、うつむいて生きているだろうなというベースをまず作りました。あとはどのタイミングで、誰と会って覚醒していくのかを、ラストシーンまでの大きな流れの中で考えて演じました。ただ、意外と最初のベースでエネルギッシュに見えてしまうところがあったので、そこは歩き方もそうですがなるべく何もしない無気力な感じを意識しました」
蒔田「麻希は過去に向き合うというよりは過去を知りたいという感じで、自分のことを知っている人が少ない中、唯一見つけたヒントを頑張って追うんですけど、あまり人を頼ることはしていませんでした。そんな麻希だからこそ変化、周りの人にどう心を開いて、周りの人たちを頼るように変わっていくのかというのは意識しました」
――『忍びの家 House of Ninjas』に続いての共演となりますが、あらためてお互いの印象は?
江口「『忍びの家 House of Ninjas』の時は思いっきり家族でしたので、もう父親目線というか親の気持ちになっているところがありますが、うつむいたときのちょっとした影みたいなものも表現できるし、日に日にどんどん成長しているのが伝わってきました。これからの成長が楽しみだなと思います」
蒔田「前回とのギャップにびっくりしましたが、共通して言えるのは常に周りの俳優さんや皆さんの意見をちゃんと聞いて、このシーンをどうしていくのかを常に考えていることです。だから、こうしたいという自分の意見もちゃんと表現できるし、それをしっかりと受け止めてくれるという安心感がありますね」
放送情報
連続ドラマW 誰かがこの町で
放送日時:2024年12月8日(日)22:00~
チャンネル:WOWOW
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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