海外でも高く評価され、今や日本を代表する映画監督となった北野武監督。彼の監督デビュー作となったのが、1989年公開の「その男、凶暴につき」である。本作はもともと深作欣二監督・ビートたけし主演という企画だったが、当時TVタレントとして人気絶頂であり、多忙なたけしに対し、深作監督が要求するスケジュールの調整がつかず、深作が監督を降板。製作サイドが代わりの監督を探そうとしたが、「深作監督だから出たいと思ったのに、他の監督では意味がない」と主張。結局、「北野武監督」で撮ることになったという。
脚本は野沢尚が手掛けたが、北野は登場人物の名前と設定以外、すべてを自分で書き直してしまった。撮影現場で俳優たちに任せてアドリブ的な演技をさせてそのまま採用される場面も多かったらしい。脚本とはまったく異なる作品になったことで、野沢は「自分のクレジットを外してほしい」との要望までしたが、本作が傑作であることを認め、北野の才能を称賛したという。
ストーリーは、一匹狼の刑事・我妻諒介(ビートたけし)とヤクザの対決を描いたもの。浮浪者を襲った少年の自宅へ押し入り、暴行を加えて無理矢理自白させるなど、その凶暴過ぎる性格から署内で異端視されていた。そんな彼も重度の精神疾患を持つ妹・灯(川上麻衣子)を気にかけている様子。麻薬売人・柄本(遠藤憲一)が惨殺された事件を追う我妻は、青年実業家・仁藤(岸部一徳)と殺し屋・清弘(白竜)の存在にたどり着く。そんな中、我妻の親友で防犯課係長の岩城(平泉成)が自殺に見せかけて殺された。じつは岩城は麻薬の横流しに手を染めていたのだ。我妻は若い刑事・菊地(芦川誠)とコンビを組み、清弘たちを追う...。
放送情報【スカパー!】
その男、凶暴につき
放送日時:2月4日(火)11:40~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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