映画「愚行録」にみる満島ひかりと妻夫木聡の笑顔の奥の狂気--
俳優

今後の日本映画界を背負っていくと言っても過言ではない俳優の満島ひかりと妻夫木聡が兄妹役で共演した映画「愚行録」。劇中、妻夫木と満島は、笑顔の奥にある圧倒的な闇に驚愕を覚えるほどの演技を見せている。

(C)2017『愚行録』製作委員会
■不安を想起させる満島ひかりの目の芝居
本作は、第135回直木賞の候補になった貫井徳郎の同名小説を、「ある男」で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ6冠を獲得した石川慶監督が映画化。石川監督にとって、本作が長編デビュー作となった。
物語は、エリートサラリーマン一家惨殺事件を追う週刊誌記者と、自分の子供を虐待してしまい罪に問われている女性の視点が平行に進むなか、徐々に二つの事件が絡み合っていくという展開になっていく。
週刊誌記者の田中を演じるのが妻夫木。田中の妹で、我が子を虐待したという罪に問われている光子を満島が演じている。
サラリーマン一家殺害事件を追うというミステリー的な要素がありつつ、本作に登場するキャラクターたちは、パブリックに見せる顔とは違う面を持っており、本音と建前を使い分けながら生きていく姿を描く人間ドラマ的な側面が強い。
まず登場する光子は、兄である田中と接見室で穴の開いたアクリル板越しに対峙する。その場面で視聴者は光子が何をしてどんな罪に問われているかという情報がほぼないが、そこで見せる満島の、焦点の合っているのかどうかわからないようなうつろな目と、口先だけでしゃべる人への不信感を表現しているような演技で「これは大変なことが起きるのかも......」という不安をあおる。
放送情報【スカパー!】
愚行録
放送日時:2025年6月8日(日)11:20~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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