長澤まさみが美しく魅力的なヒロインを好演!西島秀俊らが演じた5人の夫を変幻自在に惑わす「スオミの話をしよう」
俳優

6月13日に公開した映画「ドールハウス」が話題を集めている。大ヒット娯楽作の数々を生み出してきた矢口史靖が原案・脚本・監督を務める本作で、主演に起用されたのは長澤まさみ。6月3日に38歳の誕生日を迎えた彼女は、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)をはじめ、「キングダム」や「コンフィデンスマンJP」といった大ヒットシリーズなど、多くの代表作を持つ。
舞台でも輝きを放ち、2024年に上演したNODA・MAPの「正三角関係」で第50回菊田一夫演劇賞を受賞、今年4月からの森山未來とダブル主演を務めた舞台Bunkamura Production 2025「おどる夫婦」も完走した。さらに、主演映画「おーい、応為」も10月17日(金)に全国公開を控えている。
圧倒的な華と存在感だけでなく、俳優として成熟した演技を見せる長澤はコメディエンヌとしても高く評価されているが、その本領を発揮した作品が「スオミの話をしよう」(2024年)だ。7月12日(土)にWOWOWシネマで放送される本作は、三谷幸喜が監督・脚本を務めたミステリーコメディ。
6月29日(日)から放送開始される完全ワンシーンワンカットドラマ「おい、太宰」も注目されている三谷。コメディとシリアスのバランスがとれた脚本、長回しや軽妙な会話を駆使して、唯一無二のユニークなキャラクターたちが生き生きと躍動するが、そんな三谷の5年ぶりのオリジナル映画となった「スオミの話をしよう」にもエンターテインメントの魅力が詰まっている。
■遠藤憲一、映画「スオミの話をしよう」共演の長澤とは「最初はうまく会話できず...」

(C)2024 フジテレビ 東宝
物語は、著名な詩人・寒川の豪邸に2人の刑事が訪れることから始まる。寒川の妻・スオミが、昨日の朝から行方不明になっていたのだ。彼女の元夫でもある刑事・草野はすぐに正式な捜査を開始すべきと訴えるが、寒川は「大事にするな」と聞かない。やがて、彼女の過去を知る男たちが屋敷に続々と集まってくる。5人の男たちは、誰が一番スオミを愛し愛されていたのかを熱く語り出すが、なぜか彼らの思い出の中の彼女はそれぞれ別人のようだった。
主人公のスオミを演じた長澤は、「真田丸」(2016年)や語りを務めた「鎌倉殿の13人」(2022年)などの大河ドラマでも三谷作品には関わってきたが、映画への出演は初めてとなる。5人の男たちが語るスオミは、五者五様でまったく異なる。例えば、4番目の夫である警察官の草野にとっては大人しくて不器用な料理も家事もできない妻、現在の夫・寒川の知る彼女は運転も上手く連れ子のお弁当も作る活動的で器用な妻...と、まるで正反対だ。
1番目の夫・魚山とは元教師と生徒の関係だったが、彼を「おっさん」と呼ぶワガママで口も悪い幼妻ながら、ランニングに付き合ってあげるツンデレぶりを披露。2番目の夫である怪しげなYouTuberの十勝とサバイバルゲームに興じ、自分が最初の夫だと誤解していた3番目の夫・宇賀神に至っては交わす言語まで違う。
服装も表情も話し方も、男たちに合わせて別人のようにコロコロと変わる。キュートなツインテールや愛らしい三つ編みおさげにセーラー服、勇ましいサバゲールック、スタイルの良さが際立つチャイナドレスや華やかなワンピースなど、様々なファッションを違和感なく鮮やかに着こなす。Tシャツにジーパンのラフな姿でも美しい。さらに、スオミの母親役までこなし、まさに七変化。長澤は、謎めいたスオミという女を変幻自在に、そして多面的に表現してみせた。
そんな彼女に振り回されて大騒ぎする男たちを西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎が演じた。一癖も二癖もある5人の夫に扮した豪華キャストたちに囲まれながら、長澤は圧倒的な存在感を放つ。一同が集まるクライマックスシーンでの、瞬時に別人に入れ替わる演技は圧巻だ。
三谷作品らしいコミカルな会話劇が心地良く、カーテンコールよろしくラストのミュージカルシーンも楽しい。その中心で長澤は生き生きと光り輝く。美しく魅惑的な彼女に、男たちのように振り回されたいと思ってしまった。
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
スオミの話をしよう
放送日時:2025年7月12日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくは
こちら