山崎賢人が実写版「ジョジョ」で切り開いた俳優としての新境地

"壁ドン"ブームの先駆けとなった『L・DK』をはじめ、『オオカミ少女と黒王子』『ヒロイン失格』『orange』など、数々のコミック実写化作品に出演してきた俳優・山崎賢人(※「崎」は正しくは「立さき」)。2016年には日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得するなど注目度も高い。2017年公開の映画『斉木楠雄のΨ(サイ)難』予告編でも、自ら「山崎賢人、実写やり過ぎじゃね?」と自身の立ち位置を笑い飛ばしてみせるほど、近年の活躍ぶりは際立っている。

清潔感のあるルックスと、何ものにも染まることのできる柔軟性という、現代の俳優が求められているものを備えている山崎。女性ファンからは、王子様キャラとして絶大なる支持を集めている。正統派二枚目からドSキャラまで、数多くの少女漫画原作の実写化作品に、ヒロインの相手役として起用され続けていることからも、その人気ぶりがうかがい知れる。『orange』などでタッグを組んだ橋本光二郎監督は、最新作『羊と鋼の森』の完成披露イベントの際に「素直さこそが山崎賢人という俳優のすごさ」と評している。

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

そんな彼の新境地ともなった作品が『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』である。彼が演じるのは、主人公・東方仗助(ひがしかたじょうすけ)。見た目はちょっと怖いが、家族思いで心優しい性格。だが、自慢のリーゼントの髪型をけなされると激しく怒るというユニークなキャラクターとなっている。

原作は荒木飛呂彦のベストセラーコミック。全編を通して独特の美意識が貫かれている故に、実写化は不可能な作品だといわれ続けてきた。そんな10年以上にわたり進められてきたこの企画にオファーされたのは、これまでも数々の困難なプロジェクトを形にしてきた鬼才・三池崇史監督。原作に最大限のリスペクトを表明した彼は、原作の雰囲気を再現するために、スペインのシッチェスでのロケを敢行。異国情緒あふれる町並みが、不思議な感覚を醸し出している。

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

もちろん、俳優陣も原作への最大限のリスペクトを払っている。クランクイン前から役作りに入っていたという山崎は、主人公・仗助を演じるにあたり、筋トレを積んで肉体作りを行った。さらに撮影に入った後も連日欠かさずにランニングを行うなど、ストイックに役作りに励んでいたという。かつて山崎は、広瀬すずと共演した『四月は君の嘘』で天才ピアニストの役を演じた際に、半年にわたってピアノを猛特訓したこともあった。まさに役作りに真摯(しんし)に取り組む姿勢こそが山崎賢人のスタイルなのであろう。

原作に熱狂的なファンが多いが故に、公開当時は賛否両論の声が多く沸き起こった本作。だがそれは、今回のプロジェクトの注目度がそれだけ高かったということの裏返しである。どんな役にも柔軟に対応する山崎の新境地となった作品として、あらためて本作に注目したい。

文=壬生智裕

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放送情報

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

放送日時:2018年6月23日(土)21:00~

チャンネル:映画・チャンネルNECO

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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