岡田将生が若かりし頃のブラック・ジャックに!"受け"の芝居と"能動的"な芝居のギャップ を楽しむことができる「ヤング ブラック・ジャック」

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2025年10月に主演作「アフター・ザ・クエイク」の公開を控える岡田将生。岡田といえば、映画、舞台、CMとさまざまなフィールドで活躍している人気俳優の一人で、その演技力は折り紙付き。20歳で受賞した第34回報知映画賞新人賞を皮切りに、第34回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第4回・第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞主演男優賞、第48回日本アカデミー賞優秀助演男優賞など、数多くの賞に輝いている実力派。今後どのように芝居が進化していくのかも楽しみだ。

シリアスからコメディーまでオールジャンルの作品で活躍している彼だが、中でもドラマ「オトメン(乙男)」シリーズ(2009年、フジテレビ系)の正宗飛鳥役や、ドラマ「ゆとりですがなにか」シリーズ(2016年、2017年、日本テレビ系)の坂間正和役、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年、フジテレビ系)の中村慎森役などに代表される"頼りなさ感"あふれる人物描写は群を抜いている。それはひとえに"受け"の芝居がずば抜けているからだろう。そんな彼の"受け"の芝居を堪能できるだけでなく、感情をあらわにする"能動的"な芝居とのギャップも見られる作品が、2025年10月9日(木)に日本映画専門チャンネルで放送されるSPドラマ「ヤング ブラック・ジャック」(2011年、日本テレビ系)だ。

同ドラマは、手塚治虫の人気漫画『ブラック・ジャック』の主人公、ブラック・ジャックがその名を名乗る前のエピソードをオリジナルストーリーで描いたもので、生い立ちや本名などの設定が若干異なるものの、各所に原作を思わせる要素が散りばめられ、原作リスペクトのある作品。岡田は、主人公の間時生を演じている。

■岡田が若かりし頃のブラック・ジャックを演じる

岡田将生が若かりし頃のブラック・ジャックを熱量たっぷりに演じる
岡田将生が若かりし頃のブラック・ジャックを熱量たっぷりに演じる

時生は、幼い頃に事故に遭って生死をさまよう大けがを負うが、本間医師(市村正親)の奇跡的な医術で一命を取り留めた過去を持ち、同じ事故で植物状態となって眠り続ける母・美都子(戸田菜穂)の意識を回復させようと医者を志している医大生で、並行して不法滞在者ややくざなどの訳あり患者を相手に無免許で医療行為を行っているというキャラクター。医療知識は深く、医療技術は天才的で、ひょんなことから大学病院理事長の娘・八坂優奈(仲里依紗)と出会い、彼女の妹・八坂渚(波瑠)の難病を発見して手術を行うのだが、岡田の"受け"の芝居の上手さが存分に発揮されている。

原作と設定は違えど、若かりし頃のブラック・ジャック役ということで、"孤高の天才医師"という役どころはそのままであるためクールで口数は少ないが、仲演じる優奈と出会って過度に干渉される中で、迷惑そうな対応を見せながらも、優奈が発するいくつかの言葉が刺さり心動かされるさまを繊細に表現。特に、クールを装いながらも胸の内がざわつくさまは、時生の若さ故の心の揺れ動きをしっかりと捉えて鮮明に描き出している。

■大人のブラック・ジャックからは想像できない"息子としての顔"を見せるシーンにも注目

一方で、植物状態の母を前にしたシーンでは、母への深い愛情と思慕の念があふれた優しい表情を浮かべて心優しい一人息子の顔を見せており、母の回復の見込みがなくなってしまうシーンでは、母への思いが強過ぎるため、ブラック・ジャックという人物像からは想像できない悲痛の叫びを上げて感情を爆発させる迫真の演技を披露。

おそらく大人のブラック・ジャックであれば声を出さず噛み締めるように悲しみに耐える演技になるところを、「若さ故に感情を制御できない」「この深い悲しみを経験したからこそ、精神的に強くなるはず」という要素を踏まえて表している。

"受け身"な役どころだと、"受け"の芝居がほとんどになってしまうが、孤高の天才医師の若かりし頃を描くドラマだからこそ、岡田の"受け"の芝居と感情が爆発する"能動的"な芝居の両方が楽しめる稀有な作品の一つになっている。ぜひ、両ベクトルに光る岡田の名演に注目していただきたい。

文=原田健

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放送情報【スカパー!】

ヤングブラック・ジャック
放送日時:2025年10月9日(木)19:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
出演:岡田将生、仲里依紗、小澤征悦、賀来賢人、波瑠、中原丈雄、紺野美沙子、戸田菜穂、市村正親
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

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