2020年に週刊ヤングジャンプにて赤坂アカと横槍メンゴの共同名義で連載スタートした「【推しの子】」。伝説的アイドル・アイの"推しの子"として転生するファンタジックな設定とショッキングな描写もいとわないサスペンス要素、そして"芸能界"という複雑な世界に躊躇なく切り込む他に類を見ない斬新なストーリーに衝撃が走り、大ヒットを博した。

また2023年に放送されたアニメ版は、オープニング主題歌として音楽ユニット・YOASOBIが書きおろした楽曲「アイドル」が米ビルボード・グローバル・チャート"Global Excl. U.S."で日本語楽曲初の首位を獲得するなど、「【推しの子】」は世界を巻き込んで社会現象と言える大ブームを巻き起こした。

そんな作品とあって、実写化決定のニュースが発表されるとファンを中心に心配や不安の声が上がっていたのも事実。しかし、いざAmazon Prime Videoでのドラマシリーズ(全8話)と映画によって原作の魅力を余すところなく注ぎ込んだ実写版がお目見えすると、原作をリスペクトした内容や、役者陣のキャラクターへのハマり具合にも続々と好意的な意見が寄せられ、新たな実写化成功作品という感想が見受けられたのも印象深い。

11月1日(土)にＷＯＷＯＷシネマで放送される「【推しの子】-The Final Act-」は、ドラマシリーズから連なる物語としてそのクライマックスまでを描き切った劇場版。生前の記憶を持ったまま、"推し"のアイドル・アイが極秘出産した双子の兄として転生した主人公・アクアが、アイの殺害を首謀した真犯人を捜し求める。世間にアイの子どもであることを告白した兄アクア、アイの伝記映画で母アイ役を演じることになった妹ルビー。2人の葛藤を交えながら、アクアの壮絶な復讐の行方を綴る。

アクアを演じた櫻井海音は、大ヒット漫画の実写化でドラマ単独初主演＆映画初主演を果たすという大きなプレッシャーを背負うことになったが、もともと原作の大ファンでその愛を胸に邁進。髪を金髪に染め上げて、アクアの生き様を気迫と共に演じきった。そして元乃木坂46の齋藤飛鳥がアイ、元=LOVEの齊藤なぎさがルビーを演じており、彼女たちのアイドル姿を再び拝めるという意味でも、本作は見逃せない。加えて、アクアやルビーの前に立ちはだかる謎の男・カミキ役に二宮和也が抜擢されるなど、驚きと興奮に満ちたキャスティングの妙を味わえる。