石原裕次郎×十朱幸代、若かりし頃のスター2人の魅力が火花を散らす!フレッシュな演技と圧倒的オーラから目が離せない「殺人者を消せ」

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(C)日活

1964年公開の映画「殺人者を消せ」は、日活アクション黄金期を支えた石原裕次郎の圧倒的なスター性と、若き日の十朱幸代が放つ瑞々(みずみず)しい魅力が火花を散らす娯楽大作である。

物語の幕開け、まず石原裕次郎の変貌ぶりに目を見張るだろう。拘置所に収容された早川次郎(石原)は、無精髭(ひげ)を蓄え、周囲を威圧する荒くれ者として登場する。野性味あふれるその姿は「爽やかなスター」のイメージを良い意味で裏切る。

しかし、物語が大会社の次期社長・泉信夫の身代わりを引き受ける場面へと転換すると、そのギャップは頂点に達する。髭をそり落とし、高級スーツに身を包んで社長に扮した彼は、まさに"シュッとした"知的なエリートそのものだ。この極端な振れ幅を、一筋縄ではいかない強(したた)かな佇(たたず)まいで演じ分ける裕次郎の演技力こそ、本作の大きな見どころである。

次郎は社長の替え玉として、執拗に殺し屋から命を狙われる窮地に立たされる。しかし、彼は持ち前の強運と鋭い勘で、死線をくぐり抜けていく。特筆すべきは、裕次郎の"目力"だ。本質を見抜くような鋭い眼光は、次郎という男が単なるラッキーマンではなく、修羅場を生き抜いてきた本物の男であることを雄弁に物語っている。

■石原・十朱の2人のカリスマ性が光る演技

石原裕次郎×十朱幸代の圧倒的オーラと貫禄に注目!
石原裕次郎×十朱幸代の圧倒的オーラと貫禄に注目!

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また、現代のCGを駆使したスタイリッシュな映像とは一線を画す、当時の"生っぽさ"が残るアクションシーンは圧巻だ。肉体と肉体がぶつかり合う泥臭い衝撃、そして大海原を背景にヨットの上で朗々と歌声を響かせるサービスショット。これらすべてが、当時の観客が熱狂した"タフガイ・裕次郎"のオーラを全開にさせている。

このエネルギッシュな男の世界に、鮮やかな彩りを添えるのが十朱幸代演じる林百合である。当時の彼女が放つ輝きは、まさに"キラキラ"という言葉がふさわしい。若さゆえの純粋さと、次郎の正体を疑う好奇心旺盛で生意気な振る舞いが非常にキュートである。

しかし、単にかわいいだけではないのが彼女の神髄。ふとした表情や仕草に漂う、そこはかとない色気。この"少女のような無邪気さ"と"大人の女性の艶っぽさ"の共存が、身代わりを演じる次郎の心をも揺さぶり、物語に心地よい緊張感を与えている。

ラストシーンに向けて、2人の関係性はより深まりを見せる。ここで注目すべきは、他の作品と比較した際の彼らの演じ方である。石原裕次郎は、多くの作品で"正義のヒーロー"を演じてきたが、本作の早川次郎にはどこかアウトサイダーとしての影と、生きることに執着するギラギラとした野心がある。これは後年の「太陽にほえろ!」で見せた包容力のあるボス像とは対極にある、若き日の彼にしか出せなかった"飢えた獣"のような魅力だ。

■十朱幸代の躍動感あふれる演技から目が離せない

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