元祖クールビューティー梶芽衣子の美しきバイオレンスに括目!

1965年にスクリーンデビューを果たして以来、50年以上にわたって第一線で活躍し続けてきた女優・梶芽衣子。彼女の信条は「媚びない、めげない、挫けない」。その女優人生はまさにそれを貫き通してきたものだった。

デビュー当時から一本気であった彼女は、先輩であろうと、監督であろうと言いたいことをズバッと言い切ってきた。その姿に「生意気だ」と言われることもしばしばだったというが、それでもその媚びない姿勢こそが女優・梶芽衣子の根幹を形作った。そしてそんな彼女のイメージを強く印象づけたのは、1970年代に出演した映画「女囚701号さそり」だろう。梶が演じる主人公ナミは、恋人に裏切られ、刑務所に収監されてしまう。だが彼女は、そこで繰り広げられる凄惨なリンチや暴力に耐えながらも、復讐の怨念を燃やし続ける――という物語だ。

ナミが劇中で着ている黒のトレンチコート、黒の帽子といった全身黒ずくめの衣装は、ファッションアイコンとして多大な影響を与え、数多くのオマージュやパロディー作品を生み出した。今年3月に発刊された自伝本によると、当時の映画界は百貨店と提携しており、そこの商品を衣装や小道具として使うことができたのだとか。そこで梶は、台本を読み込んで役を解釈すると、「こういう服が着たい」と伝えて役作りを行っていたのが常だったという。もちろん「女囚701号さそり」も彼女自身が百貨店で選んだ衣装となっている。

そしてナミの特徴として、主人公でありながらほとんどセリフをしゃべらないということがある。もともと本作のオファーがあった際に脚本を読んだ梶は、単なるエログロバイオレンス映画になるのではないかと懸念していたという。だが、原作を読んでみて、この主人公が言葉を発しなかったら面白いのではないか、という直感が働き、「セリフをしゃべらないで良いのならお引き受けします」と宣言。そうやって生み出された「女囚701号さそり」は大ヒットを記録。そして梶が歌う主題歌の「怨み節」も大ヒットを記録した。その後も梶主演で続編が3本、さらに現代に至るまで別の女優を主演に添えたリメイク作品が幾度となく発表されるほどの人気作となった。

(C)東映

『パルプ・フィクション』などで知られるクエンティン・タランティーノ監督も女優・梶芽衣子に心酔し、あがめるファンのひとり。ユマ・サーマン主演の『キル・ビル』は、梶が主演する映画『修羅雪姫』をモチーフに作られた作品となり、梶が歌う楽曲「修羅の花」「怨み節」が使用されている。そしてこの作品をきっかけに梶を知った若いファンも増えた。「媚びない、めげない、挫けない」という彼女のスタイルは、世代を超えて突き刺さるものがあるのだろう。

文=壬生智裕

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放送情報

女囚701号さそり
放送日時:2018年10月3日(水)22:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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