ミュージシャンとして、役者として、時代を担う存在となった星野 源。2月28日にはニューシングル『ドラえもん』をリリースした。このタイミングで、その多才な表現の内側を知ることができる、文筆家としての星野 源にも注目しておこう。今改めて読みたい、著作三選をご紹介!
土台がわかる初めてのエッセイ集『そして生活はつづく』
2009年に出版された、星野 源にとって初めてのエッセイ集。それ以前から、大人計画所属の役者として、またインストルメンタルバンドSAKEROCKのリーダーとして活躍していたが、星野 源名義で1stアルバムをリリースしたのは2010年のこと。つまり、ここにはブレイクする前の星野 源の"生活"が描かれている。
携帯電話の料金を支払うタイミングを逃し続けたこと、コインランドリーの自身の洗濯物にブラジャーが紛れ込んでいたこと、洗面台をビシャビシャにしてしまうこと......そんな、"ひょんなこと"から、ユーモラスで壮大な物語を紡いでしまう文才に惚れ惚れしてしまう。下ネタも明け透けに綴るオープンな人柄、生い立ちや家族、音楽や役者に対するスタンスも見えてくる、星野 源の土台が知れる一冊だ。
怒涛の日々をライブ感たっぷりに封じ込めた『蘇える変態』
2014年に出版された、タイトルも秀逸な一作。ソロデビューしてから、ミュージシャンとしても役者としても多忙を極める中、2012年にくも膜下出血で倒れて入院。その後の復帰、再発、休業を経た怒涛の日々が、生々しく、それでいて読みやすく昇華されている。
前半には、楽曲が生まれるまでの過程や、役者として様々な作品に向き合う様子、そしてそこから広がる妄想や下ネタ、若かりし頃の思い出が、バタバタバタバタバタッ!とテンション高く描かれており、読み手をグッと巻き込む。そして後半からは、くも膜下出血になってからの痛みや感情、病院の様子などが克明に伝わってきて、ここまで描き切ることで、彼は生き様そのものも含めてエンターテイナーになろうと腹を括っているのではないか、と思うほど。"痛い"だけが書かれているページがあるという構成も見事で、こんなにも"ライブ感がある"エッセイは、とても希少だと思う。
表現者としての今が見える最新エッセイ『いのちの車窓から』
2017年に出版された最新作。これまでの彼のエッセイとは、少しテイストが変わってきているように感じられる。もちろん、その人柄が映し出されているところや、ひょんなことから物語を引き出すセンスに変わりはないのだが、よりドラマや映画や音楽の"背景"が見られるのだ。なので、面白おかしいというよりは、表現に対する真摯な姿勢を知ることができたり、純粋に文才が楽しめる一冊になっていると思う。あらゆることを経験してきた彼が、あらゆるものをそぎ落として至った文体なのかもしれない。読後に彼の歌を聴いたり、演技を見たりしたくなる、磨かれた表現者としての今が刻まれた一冊となっている。
この3作のエッセイ以外にも彼にまつわるあれこれが収録された『働く男』も読みごたえたっぷり。表現が多才になる必然が表れている星野 源の著作に、ぜひ触れてみて欲しい。
Writer:高橋美穂
※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。
放送情報
連続ドラマW プラージュ ~訳ありばかりのシェアハウス~(全5話)
放送日時:2018年3月15日(木)22:25~
チャンネル:WOWOWライブ
TEXAS テキサス 長塚圭史×河原雅彦×星野源
放送日時:2018年3月15日(木)16:45~19:00
チャンネル:WOWOWライブ
大人の新感線『ラストフラワーズ』
放送日時:2018年3月15日(木)19:00~22:25
チャンネル:WOWOWライブ
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