肉体から溢れ出る!西島秀俊が「MOZU」で見せた大人の色気

「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」
「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」

『散り椿』『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』『人魚の眠る家』など、2018年出演映画が次々と封切られた俳優、西島秀俊。2019年にも日本の最南端沖を舞台に、ある軍事勢力によってもたらされた日本の危機を描く映画『空母いぶき』やドラマ「メゾン・ド・ポリス」などが控えており、日本の映画界、ドラマ界になくてはならない存在だ。西島は1992年のドラマ「はぐれ刑事純情派 第5シリーズ」でデビューしてから、「あすなろ白書」(1993年)の同性愛者役、朝ドラ「純情きらり」(2006年)で太宰治をモデルにしたお茶目な津軽弁の画家役など、シリアスからコミカルまでさまざまな役を演じてきた。2013年には大河ドラマ「八重の桜」で、砲術を担当する武士に扮し、鍛え上げられた筋肉質な身体を披露。衣装を着ていると一見線が細そうに見える西島が「脱いだらすごい」と言われるようになったのは、この頃からのような気がする。

「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」

(C)TBS・WOWOW (C)逢坂剛/集英社

そんな西島の体を張ったアクション、そして横顔で語るような繊細な演技が一作で両方楽しめる作品が、彼の代表作のひとつ「MOZU」シリーズだ。逢坂剛のハードボイルド小説を映像化したサスペンスドラマで、香川照之、真木よう子ら人気実力ともに備えた豪華キャストが数多く出演したことでも話題になった。物語は、都心の繁華街で起きた爆発事件から始まる。西島が演じる警視庁公安部特務第一課警部・倉木尚武は、爆心地で発見された遺体が妻・千尋(石田ゆり子)であることを知り、事件の全容を解明すべく奔走する。公安を嫌う大杉警部補(香川照之)も事件を追う過程で、倉木とぶつかりながらも協力し捜査を進めていくことに。一方、爆発事件の現場に居合わせていた公安部の明星巡査部長(真木よう子)は、特別任務である人物を追っていた。その人物はプロの殺し屋、新谷和彦(池松壮亮)。新谷はアイスピックを使い背後から"獲物"を襲う。「早贄(はやにえ)」という獲物を木の枝などで串刺しにする習性を持つ鳥、百舌のような手法で殺人を繰り返す新谷が、爆発事件に関わっていることが分かってくる。

「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」

(C)TBS・WOWOW (C)逢坂剛/集英社

シャツを第二ボタンまで開け、黒いネクタイをゆるりと締めた西島扮する倉木は、「妻が死んだ真実を知りたい」ということだけを原動力に動く。ほとんど常時タバコを咥え、眉間にシワを寄せて紫煙をくゆらすその姿だけで、倉木という人物の心の闇まで体現する西島の演技力には驚かせられる。レストランで獲物を狙う新谷と対峙した際も、決して相手から目を離すことなく自分のペースで会話を進めていく。見ているこちらは心拍数が上がってくるのだが、画面の中の倉木の落ち着きぶりに安心感さえ覚える。どんな時にも冷静沈着で、相手の全てを見破りそうな眼光の鋭さ。眼で、横顔で、背中で演じる倉木という役柄。所作のひとつひとつに哀愁が漂い、大人の色気さえも感じさせる演技は、数多くの役をこなしてきた西島だからできるものだろう。そして、もう何も失うものがない倉木が体当たりで敵に向かっていくアクションシーン。激しい動きの中にも公安のエリートである倉木のスマートさが伺える。また、はだけたシャツからは、相当鍛えられたであろう筋肉が見え、痛々しい傷を負っているにもかかわらず絵になるのだ。

「MOZU Season2 ~幻の翼~」

(C)WOWOW・TBS (C)逢坂剛/集英社

演技派と言われる西島の魅力が詰まった「MOZU」シリーズ。先の展開が読めないストーリーもさることながら、西島の色気ある演技、肉体美にもつい注目してしまうそんな作品である。

文=津金美雪

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放送情報

MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~ 全10話
MOZU Season2 ~幻の翼~ 全5話
「MOZU」 スピンオフ 大杉探偵事務所 ~美しき標的編/~砕かれた過去編
放送日時:2019年1月3日(木)12:00~
劇場版MOZU
放送日時:2019年1月4日(金)21:00~
チャンネル:シネフィルWOWOW
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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