オダギリジョーが古代の戦士に変身!才能の片鱗を感じる「平成仮面ライダー」第1作

特撮ドラマが"若手俳優の登竜門"と称されるようになって久しいが、その風潮は一体いつから始まったのだろう。改めて出身俳優を振り返りたどってみると、近年で言えば、竹内涼真や福士蒼汰が名を連ねており、さらに遡れば菅田将暉や佐藤健など、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。そしてそんな彼らの先陣を切るかのように、"ライダー復活=平成仮面ライダー誕生"の狼煙を上げ成功へと導き、道をつくった俳優がいる。オダギリジョーのことだ。

ドラマ「時効警察」シリーズ(2006、2007年)や映画「宵闇真珠」(2018年)などに出演し、今や国内外問わず活躍を見せるオダギリは、1999年に舞台「DREAM OF PASSION」で俳優デビューを果たした。高校卒業後に渡米し、カリフォルニア州立大学フレズノ校や日本の俳優養成所で演技を学んだオダギリの表現力は確たるもので、映画初主演を務めた「アカルイミライ」(2003年)では、「第13回日本映画プロフェッショナル大賞」主演男優賞を獲得。近年は作品や主演を支えるバイプレイヤーとしての顔も見せ、ドラマ、映画ともに欠かせない俳優として存在感を放っている。

そんなオダギリの出世作と称されているのが、"平成仮面ライダー"第1作として登場した「仮面ライダークウガ」(2000~2001年)だ。1989年の「仮面ライダーBLACK RX」の放送以降、約10年ぶりのTVシリーズとなった「クウガ」は、古代の怪人・グロンギが現代に復活したことから物語が始まる。冒険家・五代雄介(オダギリ)は、刑事・一条薫(葛山信吾)と出会い古代のベルトを装着したことで、仮面ライダークウガへと変身。突如現れた怪人に怯え暮らす人々の、"笑顔を守る"べく、五代はグロンギとの死闘に身を投じていく。

(C)石森プロ・東映

本作においてオダギリは主人公・五代を演じているのだが、まだ俳優デビューを果たしてから間もない頃のこと。また24歳という若さからか、表情やセリフの言い回しに若干のたどたどしさが垣間見え、その姿には驚きを覚える方も多いであろう。しかしその一方で、当時からすでに役者としての根幹が出来上がっているようにも思える。

というのも、いい意味でオダギリは自分をうまく消すことが出来るのだ。それは決して目立たないという訳ではなく、その誇張しすぎない存在感は物語に信ぴょう性を与え、さらに掛け合いの際には要所で相手俳優の演技を引き立てることにもつながる。また逆もしかりで、オダギリ演じる五代の見せ場のシーンでは主人公然とした存在感で、作品を見る人の目線や感情を一気に自分へと引き込んでいく。今でこそバイプレイヤーとしても目覚ましい活躍を見せるオダギリだが、その片鱗は「クウガ」においても感じ取ることができるだろう。

制作当時、新たなライダーの形を求められた「クウガ」は、設定やストーリーに関して特にリアリティが求められていたと聞く。そしてその中において、重圧を感じながらも五代=クウガを演じきったオダギリの等身大の演技こそが、子どもだけでなく大人の心すらもつかむ要素の一端を担っており、結果として"平成仮面ライダー"の道筋をつくったとも言えるだろう。"特撮ドラマ出身俳優"から目が離せない昨今。ここで今一度、道を切り拓いた作品「クウガ」とオダギリの演技に、注目してはいかがだろうか。

文=椋鳥

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放送情報

仮面ライダークウガ 特別篇[超解像版]
放送日時:2019年4月7日(日)10:00~
チャンネル:東映チャンネル

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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