ラブストーリーに特化した新たな朗読劇シリーズ「恋を読む」の第1弾として、2018年に上演された「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」は、累計発行部数160万部超の同名小説を原作とする切なくも不思議な純愛物語だ。主人公は、木野美術大学のマンガ学科に通う男子大学生・南山高寿。ある日、電車の中で福寿愛美という美しい女性に一目ぼれした彼が意を決して彼女に声をかけ、2人の距離は少しずつ縮まっていく。しかし、一人暮らしを始めた高寿の部屋に、愛美が一冊の古びたメモ帳を忘れたことから、彼女の秘密が明かされていく。
6日間の日程で開催された初演時は、鈴木拡樹、山崎紘菜ら人気俳優や女優、梶裕貴、戸松遥ら人気声優陣をキャスティング。劇場は連日満員となり、大盛況のうちに幕を下ろした。そして2019年3月12日より行われたアンコール上演にも、豪華俳優&声優陣が集結。「荒牧慶彦×三森すずこ」「黒羽麻璃央×山崎紘菜」「細谷佳正×秋山ゆずき」「木村達成×清水くるみ」「梶裕貴×高月彩良」「蒼井翔太×石川由依」「松田凌×内田真礼」「廣瀬智紀×吉倉あおい」の8組が、8通りの高寿と愛美を演じた。各コンビは、男性陣は青、女性陣はピンクを基調とした、おのおのの個性を引き立てる衣装を身に着け、それぞれの解釈によって作り上げられた高寿と愛美として舞台に立つ。あるキャストは声にすべての思いを込めるかのように、ボディーランゲージを控えめにし、また、あるキャストは泣き虫の愛美にハンカチを差し出す。
中でも、「ロミオ&ジュリエット」「エリザベート」などミュージカルを中心に活躍の場を広げている木村達成と、映画『チア男子!!』や舞台「黒白珠」などで注目を集める清水くるみのペアは、弾むような明るい声で、リアルな20歳の恋人たちをフレッシュに表現。会話シーンでは、しっかりと互いに見つめ合い、高寿が愛美の秘密を知った後のすれ違いの場面では、声を荒げ、感情を爆発させるキャストが多い中、木村はポツリポツリとこぼすような抑制の利いた演技で、高寿の困惑ぶりを観客に伝えた。このように各キャストの演技によって「高寿」「愛美」の印象ががらりと変わるところが、舞台版の魅力といえるだろう。
また、この作品のために作られたオリジナルアニメーションと音楽、そして新進気鋭の若手演出家・三浦直之による朗読劇の枠を超えた、舞台全体を使った演出もみどころの1つ。舞台上に設置された、やや傾斜のある緑色の台が、公園や動物園のベンチ、高寿の家のイス、そして2人がデートする京都の繁華街など、さまざまな場所へと姿を変えていく、秀逸なアイディアにも注目だ。
3月29日(金)よりテレ朝チャンネル1で、「荒牧慶彦×三森すずこ」コンビを皮切りに、全8組の公演が舞台裏でのスペシャルコメント付きで放送される。そして、3月31日(日)21:00からの「木村達成×清水くるみ」コンビは、作品の制作秘話、稽古や舞台での裏話などが聞ける副音声付き。お気に入りの「高寿×愛美」を見つけて、より深く作品世界に浸ってほしい。
文=中村実香
放送情報
恋を読む「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
放送日時:2019年3月29日(金)23:00~ほか
チャンネル:テレ朝チャンネル1 ドラマ・バラエティ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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