2015年に放送された「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」は、山崎紗也夏のコミックを原作に、警察官のカップルとシリアルキラーの美女の攻防戦をスリリングに描いたサスペンス。
警視庁機動捜査隊員・里見偲を演じる松坂桃李のゴールデン・プライム帯民放連続ドラマ初主演作としても注目された。2009年に「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビューして以来、ドラマや映画でさまざまな役を演じてきた松坂が新たなステージに立った作品でもある。
■松坂が演じる "生身"の人間
里見と相棒の猪熊(木村文乃)は半同棲していて、結婚も考えるほど真剣に付き合っているが、職場の警視庁ではそれを秘密にしている。そんな中、猪熊がキャバクラで働く長身の美女・カラ(菜々緒)と仲良くなるが、里見はカラが猪熊に異常に執着しているように見えて警戒する。同時に次々と殺人事件が起こり、里見は怪しい美容整形外科の院長とカラの関係に気づき、カラも顔を整形して別人になりすましているのではと疑うが...。一方、猪熊は里見がカラと浮気していると誤解し、恋人としての関係も壊れかけていく。
菜々緒が熱演するカラは、恐ろしい殺人衝動を抱えながらも普通の人間を装う"良心のない"悪女で、サイコパスやシリアルキラーと呼ばれる存在。松坂はそんなモンスターに立ち向かい苦戦する里見をスーパーヒーローではない生身の人間として演じている。ビルから飛び降りたり、人里離れた別荘でカラと格闘したりするなど、機動隊員らしい本格的なアクションも自分でこなした。ロケも多かった撮影はかなりハードだったようで、"階段落ち"するシーンを撮ったときは、休憩中に階段の上で思わず寝てしまったこともあったとか。
■「キスがエロすぎる!」と話題に
松坂はこの2015年を境に、映画『劇場版MOZU』、『秘密 THE TOP SECRET』、『不能犯』、『孤狼の血』などで捜査員役と殺人者役を交互に演じていく。アクションだけでなく。どちらの役もこなし演技の幅が広いことを証明した。さらに、童貞の小学校教師や特殊能力のある探偵などクセのある役もこなし、かっこいいだけでなく"面白い演技をする俳優"として広く認知された。
本作の恋人としての里見は、頼りなくて抜けているところもあるけれど、猪熊ひとすじで、かつ彼女の気持ちを最大限、尊重する誠実な男。命がけで猪熊を守ろうとする男気もあって魅力的だ。本作の撮影時はキスシーンにも「慣れていない」と語っていた松坂だが、この2015年以降、舞台『娼年』(映画版もあり)などで濃厚でリアルなラブシーンにも挑戦するようになっていく。
その修業の甲斐あってか、「この世界の片隅に」で戦時中の新婚夫婦の初夜を演じた際も「キスがエロすぎる!」とネットで話題に。
■シェイクスピア劇で吉田鋼太郎とタッグを!
最新主演ドラマ「パーフェクト・ワールド」でも事故にあって車椅子生活になった建築士を演じているが、ラブシーンで色っぽい表情を見せ、キュンキュンさせてくれそうだ。そんな松坂の初期"大人路線"が見られる「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」をチャンネルNECOで一挙放送されるこの機会に見直しておこう。
また、衛星劇場では、松坂桃李がシェイクスピア劇に挑戦した『ヘンリー五世』をテレビ初放送。演出家・蜷川幸雄の跡を継ぎ吉田鋼太郎が芸術監督を務めた注目の舞台で、松坂は2013年に出演した『ヘンリー四世』に続いてイングラン
文=小田慶子
放送情報
サイレーン 刑事×彼女×完全悪女 #1~#4
放送日時:2019年5月18日(土)16:35〜
サイレーン 刑事×彼女×完全悪女 #5~#9
2019年5月25日(土)16:30~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
劇場への扉~素晴らしき演劇の世界~ [初] ヘンリー四世
放送日時:2019年5月5日(日) 8:00〜
劇場への扉~素晴らしき演劇の世界~ [初] ヘンリー五世
放送日時:2019年5月5日(日) 12:30〜
チャンネル:衛星劇場
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