心に響く歌声と温かみのある演技で人気を集めるミュージカル俳優・海宝直人。8月10日、11日に開催された「海宝直人 CONCERT 2019『I hope.』」(オーチャードホール)でも珠玉の歌声を披露したが、この模様が10月30日(水)21:00よりWOWOWライブにて放送される。
このコンサートのテーマは"ミュージカル・ヒストリー"。昨年のオーチャードホールでのコンサートの経験から「このホールにはクラシックな響きが似合う」と思い、このテーマがセレクトされた。特筆すべきは、選曲もトークの構成台本もすべて海宝自身が行っているということ。7歳の時に初舞台を踏み、数々の作品で主役・大役を演じてきた"ミュージカルの申し子"である海宝の「ミュージカルの魅力を伝えたい」という深い想いが感じられる。
ドラマティックでありながら、繊細な心の動きを伝える海宝の歌声は唯一無二。長年海宝とタッグを組んできた気鋭の音楽監督・森亮平による編曲と演奏によって、作品全編の魅力を圧縮して1曲に注ぎ込んでいるのも印象的だ。例えば、「オペラ座の怪人」のナンバーでは、ファントムが仮面の下に自分の真実を隠して生きてきた人生を歌う「マスカレード (Masquerade)」の一節を歌の冒頭に取り入れることで、ファントムのキャラクターが浮き彫りになっていた。
海宝自身が大好きな作品であるミュージカル「ウィキッド」の「自由を求めて (Defying Gravity)」は本来女性が演じるエルファバ役のナンバー。この曲が聴けるのもコンサートならでは魅力だ。そのほか、伸びやかな響きが堪能できる「自慢の息子 (Proud of Your Boy)」(「アラジン」)、ロマンティックな「街灯の下で (Leaning on a Lamppost)」(「ミー&マイガール」)、哀愁あふれる「道化をよこして (Send in the Clowns)」(「リトル・ナイト・ミュージック」)など、曲ごとに色彩豊かな歌声で観客を魅了した。
"チャレンジ企画"と称して「Vienna」(「SMASH/スマッシュ」)のピアノ弾き語りにも挑戦。終わった後には「どれだけ緊張するか!」と、見せた笑顔が微笑ましくうつる。また、大のミュージカルマニアを自認する海宝が楽曲の合間に語るトークは"ミュージカル講座"のよう。作品の意外なエピソードやミュージカル界の変遷などが語られ、このコンサートを見るだけでミュージカル通になれそうだった。
2020年に大作ミュージカル「ミス・サイゴン」「アナスタシア」への出演が決定しているが、公演に先駆けてこのコンサートで楽曲を披露。海宝が演じている姿が早くも目に浮かぶような歌唱で、来年の舞台への期待が大いに高まる内容となった。アンコールは「レ・ミゼラブル」から2曲をチョイス。海宝は同作でマリウス役を演じているが、今回披露されたジャベール役の「星よ (Stars)」とバルジャン役の「彼を帰して (Bring Him Home)」は、「いつかこれらの役を演じる姿が見たい」と思わせる圧巻の歌唱だった。
見る者を勇気づけ、明日への活力を与える海宝の歌声。彼の過去・現在・未来が凝縮したコンサートとなった「I hope.」を、息遣いまで伝わる映像で味わい尽くしてほしい。
放送情報
海宝直人 CONCERT 2019「I hope.」
放送日時:2019年10月30日(水)21:00~
チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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