漫画家・佐々木倫子によるヒットコミックをドラマ化した「Heaven? ~ご苦楽レストラン~」が4月29日(水)TBSチャンネルで一挙放送される。パワフルな美女・黒須仮名子(くろす・かなこ)が「ロワン・ディシー」(この世の果て)という名のフレンチレストランを開くためにあちこちから店のスタッフを集め、気まぐれな言動で彼らを翻弄するという"ご苦楽"ならぬ"お気楽"なコメディだ。
主人公の仮名子を演じるのは、毎年、連続ドラマに主演し新たなキャラクターを演じている石原さとみ。このドラマで彼女は、傍若無人でワガママだが、裏表がなく常に前向きなオーナーを生き生きと演じている。
実はちょっとした有名人でもある仮名子は、自分のためのレストランがほしいがために「ロワン・ディシー」をオープン。言葉巧みにシェフドラン(上級ウェイター)の伊賀(福士蒼汰)らをスカウトして店を経営していく。店内には自分専用のテーブルを設置し、そこで毎晩、料理とワインを楽しんでご満悦だ。しかも、勝手にオープニングパーティーの日を決めるなど、無茶ぶりをして従業員を振り回し、何を言っても無駄だという気持ちにさせて、彼らの顔に「諦観の笑み」を浮かべさせてしまう。そんな性格ゆえ、どう見ても国宝レベルの美人なのに、伊賀たちからは全く恋愛対象として見られていない。この自己中心的だけれど痛快な"陽キャラ"ヒロインは、地上波放送時も人気を博した。
石原と伊賀役の福士蒼汰はこれが初共演。NOと言えない性格の伊賀を仮名子が困らせる場面のやりとりで、クスリと笑わせる。映画などではヒーローを演じることが多い福士が"陰キャラ"を演じている点に注目だ。また、コミドラン(ウェイターのアシスタント)川合を演じるのは志尊淳で、無邪気な笑顔を浮かべ天然キャラを好演。仕事覚えが悪い川合は、仮名子から首を切られそうになってしまうが、伊賀がそれを川合に言い渡せず、もんもんと苦悩するという展開も見どころだ。
そして、"お仕事ドラマ"のアンサンブルには欠かせないバイプレーヤーたちにも注目。店長の堤は、牛丼屋の店長だっただけでフレンチでは素人。そんな頼りないリーダーを演じるのは勝村政信だ。また、段田安則が演じるシェフ・小澤は料理の才能はあるが、自信がなくなってくると味も薄くなってしまうという自己肯定感の低い男。そして、資格取得が生きがいのソムリエ・山縣を演じる岸部一徳は、タキシード姿が原作漫画の絵とそっくりで、再現度が高いと評判に。3人とも「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)シリーズなどでおなじみのベテランキャストだ。
ウェイターやシェフたちにはそれぞれ弱点があり、「ロワン・ディシー」はまさに寄せ集めのポンコツチーム。それでも、彼らが絶妙にフォローしあい、なんとかトラブルを収束させていく様が笑いを誘う。そして、見ているうちに、そんな彼らを応援したくなってくる。
原作の連載スタートは20年以上前とあって、仮名子たちがなんのマーケティングもせず、行き当たりばったりの経営をする様子は、今の感覚からすると無謀すぎる。でも、もし本当にこんな店があって、ゆるく生きることが許される世の中だったらいいだろうなぁとも。まさしく"ヘブン=天国"を見るような思いで楽しめる作品だ。
文=小田慶子
放送情報
Heaven?~ご苦楽レストラン~
放送日時:2020年4月29日(水)11:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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