近年最も活躍した天才子役といえば芦田愛菜だ。母の勧めで3歳という幼さで芸能界に足を踏み入れ、2010年、5歳の時に出世作となったテレビドラマ「Mother」(日本テレビ系)に出演。虐待される少女役を務め、あまりにリアルな演技で多くの視聴者の涙を誘い、一気に人気子役となった。その演技力は第65回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で新人賞、また東京ドラマアウォードで特別賞を受賞するほどだった。
■数々のドラマや映画に出演、活躍の場を広げる
2011年にはNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」に出演して話題となり、同年のドラマ「さよならぼくたちのようちえん」(日本テレビ系)では日本のドラマ史上最年少での初主演。またドラマ「マルモのおきて」(フジテレビ系)では連続ドラマ史上最年少で初主演し、共演した鈴木福らと主題歌を歌って歌手デビューしたかと思えば、年末の第62回NHK紅白歌合戦にも出場しこれも最年少出場記録を塗り替えた。
2012年には前年公開の映画『うさぎドロップ』と『阪急電車 片道15分の奇跡』で、史上最年少で第54回ブルーリボン賞の新人賞を受賞。また2013年には映画『パシフィック・リム』でハリウッドデビューを果たすなど、その飛躍はとどまることを知らなかった。
しかし中学受験のため一時期活動は落ち着き、さらに今年4月には高校へと進学。子役から次のステップへと成長しつつあり、多くのファンが今後の活躍に期待している。
■『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』での"こっこ"役に注目
そんな今だからこそ、芦田の過去の名作を振り返ってみたい。彼女の名演技を堪能したい方にオススメなのが、2014年に公開された映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』だ。本作は衛星劇場で5月19日(火)に放送予定で、芦田は主人公の少女・渦原琴子、あだ名は"こっこ"を演じている。
こっこは活発で、ちょっと変わっているが自分に素直な女の子。しかし相手の気持ちを思いやることができず、周囲に心配や迷惑をかけてしまう。相手の気持ちを知るにはどうしたらいいんだろう?本作はそんな問題に直面した少女の成長物語となっている。
3つ子の姉や優しく見守ってくれるお爺さん、彼女の良き理解者である友達の"ぽっさん"やボートピープルだった"ゴックん"など個性的な登場人物の中で、「うるさいボケ!」と関西弁で元気いっぱいにハジけるこっこの姿は実に痛快だ。
演技も抜群で、家族との言い合いで押し黙ってしまった時には目に不満がありありと浮かぶし、家族と噛み合わずに無言でご飯をかきこむシーンでは、どうしたらいいのかわからない気持ちがよく伝わってくる。
通信簿を見たお母さんに怒られているシーンや、1人で畳の上で寝転ぶ憂鬱な表情がごくごく自然で感情移入でき、自分が小学3年生だった頃をつい思い出してしまうくらいだ。
本作での彼女の演技については、監督を務めた行定勲氏が「芦田愛菜がいなければ映画化出来なかった」と語るほど。芦田は、演技はもちろん演出も自分で考え抜いて撮影に臨んでいたという。
芦田のそういった努力、また才能があるからこそ、物語のラストでは成長したこっこの明るい笑顔、安らかな笑顔についホロリとさせられてしまう。本作での芦田愛菜の演技を、ぜひ味わってみてほしい。
文=堀慎二郎
放送情報
円卓 こっこ、ひと夏のイマジン
放送日時:2020年5月19日(火)18:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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