全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」や、阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」など、現在も歌い継がれる昭和の名曲の数々を生み出した作曲家・古関裕而をモデルにした朝の連続テレビ小説「エール」が好調だ。同ドラマの主演を務めるのは窪田正孝。現実の壁にぶち当たりながらも、妻の音(二階堂ふみ)と二人三脚で音楽家の道に進んでいく主人公・古山裕一を繊細に演じている。
■2006年にデビューし話題作に続々と出演
窪田は2006年劇場公開の映画『ユモレスク~逆さまの蝶~』ではじめての撮影現場を体験すると、その後に行われたオーディションでドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」の主演に抜てきされ、俳優として本格的に活動をはじめる。それから2014年放送の朝の連続テレビ小説「花子とアン」で注目されると、その後も次々と話題作に出演した。
これまでドラマやサスペンス、時代劇など、幅広いジャンルの作品に出演してきた窪田だが、それだけでなく身体能力の高さを活かしたアクション作品にも強みをみせる。2013年には、ヤンキーアクション「ガチバン」シリーズでのアクションが認められ、第1回ジャパンアクションアワード ベストアクション男優 優秀賞を獲得している。
■『東京喰種 トーキョーグール』で複雑な心情を表現
そんな窪田の俳優としての魅力を、演技力とアクションの両面で感じることが出来るのが、石田スイの大ヒットコミックを実写化した2017年の映画『東京喰種 トーキョーグール』だ。主人公・カネキを演じる窪田を、原作者の石田は「初めて窪田さんを拝見した時に、万が一実写化するならこの人がいいなと感じた」といい、「演技の素晴らしさは勿論、"カネキが実際にこの世界にいたらこういう感じ"というキャラのイメージにぴったり」と絶賛している。
本作主人公のカネキは、不慮の事故により、「人間」でありながら、人を喰らわないと生きられない「喰種(グール)」でもあるという、いわば「半喰種」となってしまう。「喰種」として人間の肉を欲する身体が、激しい飢えの苦しみを引き起こすが、「人間」としての感情が他者を襲う行動にブレーキをかける。
なんとも言い知れぬ衝動・高揚感を抱いてしまう「喰種」としての身体と、そんな自分を恐れる「人間」としての心のせめぎ合い、葛藤、戸惑い。そんな複雑なカネキの感情を、窪田は実に繊細に、時に激しく演じている。同作のメガホンをとった萩原健太郎監督は、全力投球型で芝居に没頭する窪田のことを「ストイックだけど器用で、考えながら感じられるタイプだと思いました。身体能力が高く、アクション的に芝居をしているような感覚もある」と評している。
また、それと同時に、喰種の体内から放出される捕食器官・赫子(かぐね)を駆使したバトルシーンは迫力の一言。喰種ならではのCGを駆使した赫子の攻撃の迫力は、窪田ら俳優陣の身体能力を活かしたワイヤーアクションと絶妙に融合し、壮絶な場面となっている。
なお、この作品から2年後の2019年には続編となる『東京喰種【S】』が制作されている。窪田が俳優として着実にステップアップしているのと呼応するように、この作品でカネキはさらなる成長を遂げている。大切な人を守るために戦う、という思いが強くなったカネキは前作以上の激しいアクションを披露している。6月5日にはWOWOWシネマで、『東京喰種 トーキョーグール』と『東京喰種 トーキョーグール【S】』が放送されるので、併せて見てみてはいかがだろう。
文=壬生智裕
放送情報
東京喰種 トーキョーグール
放送日時:2020年6月5日(金)21:00~
東京喰種 トーキョーグール【S】
放送日時:2020年6月5日(金)23:05~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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