松坂桃李が映画『新聞記者』のエリート官僚役で見せた表現力

「新聞記者」より
「新聞記者」より

近年、俳優として充実した仕事ぶりを見せている松坂桃李。NHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」などのテレビドラマに出演し、お茶の間に親しまれる一方で、特にここ4~5年は『孤狼の血』『娼年』といったハードでチャレンジングな話題作・問題作にも果敢に挑戦している。また、最近では熱狂的なゲームマニアの顔も披露。そのガチすぎる姿に、男性ファンも急増しているという。

そんな松坂のデビューは2008年。雑誌「FINEBOYS」の専属モデルとして活動を開始。その翌年には俳優デビュー作となる「侍戦隊シンケンジャー」で初主演。その後、2012年に朝の連続テレビ小説「梅ちゃん先生」に出演し、大ブレーク。その後も映画、ドラマ、CM、舞台など幅広いジャンルで活躍している。

■第43回日本アカデミー賞で三冠に輝いた映画『新聞記者』

そんな彼のフィルモグラフィの中でも、特に驚きをもって迎えられたのは2019年に公開された映画『新聞記者』だろう。東京新聞の望月衣塑子記者が著したベストセラー新書「新聞記者」を原案に、政権がひた隠そうとする権力中枢の闇に迫ろうとする女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚による葛藤を描き出した衝撃作。『怪しい彼女』『サニー 永遠の仲間たち』のシム・ウンギョンと松坂とのダブル主演作となる。

劇中にはここ数年の間に日本で起きた現在進行形の政治事件をモデルにしたシーンが織り込まれた。本作公開前はなかなか十分な宣伝活動ができなかったというが、いざ公開が始まると口コミが広がり、ロングランヒットを記録。その後、本作は賞レースを席巻、第43回日本アカデミー賞では、松坂の最優秀主演男優賞をはじめ、最優秀女優賞、最優秀作品賞の三冠を記録するなど、逆境を見事にはねのけた。

■エリート官僚・杉原の揺れ動く感情を表現

松坂演じる官僚・杉原は、外務省から出向したエリートでありながらも、その仕事の実態は政権を守るための情報操作やマスコミ工作をすることであった。官僚として上からの命令に粛々と従ってきた杉原だったが、外務相時代の上司の自殺を通じて、自分の仕事に疑問を感じるようになる――という役柄だ。

松坂は本作の脚本を読んで、「こんな攻めた映画を作るのか!」という純粋な驚きを持ったという。だが、かねてよりその仕事に注目していた藤井道人監督、そしてシム・ウンギョンと一緒に仕事ができるということが出演の後押しとなった。「作品に対していろいろな意見が出てくるだろうが、とにかくこの杉原という役をしっかりと生きてみよう」。そう考えた松坂に、迷いはなかったという。

杉原は、組織の倫理と、個人の倫理の間で揺れ動く。松坂は撮影中、そうした繊細な感情を、藤井監督と話し合いながら、丁寧に積み重ねていった。撮影を終えた際も、スタッフを前に「こんなに濃密な2週間はなかなか体験できないですね」と語っていたという。そんな松坂の新たな代表作として、本作は注目の1本だ。

文=壬生智裕

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放送情報

新聞記者
放送日時:2020年7月19日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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