逮捕不可能?松坂桃李の怪演に沢尻エリカが体当たり演技で挑む!

犯罪を意図した行為でも、その実現が不可能であれば、罪に問われない。これを「不能犯」という―。松坂桃李主演、沢尻エリカ、新田真剣佑らが共演者に名を連ね2018年に公開した映画『不能犯』は、そんな不穏な文言から始まる。松坂が演じるのは、見つめるだけで相手を死に追いやることができる男・宇相吹正(うそぶきただし)。日々の暮らしで「あいつを殺したい」と殺意を抱いた人間が、街中にある電話ボックスに殺人依頼を貼り付けておくと、代わりに宇相吹がその相手を殺害する。

彼は「思い込み」や「マインドコントロール」を駆使して相手に暗示をかけて支配しているだけで、ターゲットは自ら死に導かれ自滅していく、というのが宇相吹の殺人のロジックだ。宇相吹自身は、ただ相手の前に立っていただけなので、法律的に彼の犯行を証明することはできず、罪に問うこともできない。そんな悪魔のような男を松坂が怪演している。

原作は同名人気コミックだが、本作の中畠義之プロデューサーが「原作の宇相吹のビジュアルを見た時、松坂桃李さんしか思い付かなかった」と語るほどのハマり役となった。松坂自身も、原作にあったコミカルな面は抑えめに、ダークなキャラクターを色濃く抽出する方向で役作りを行ったという。それだけに、まるで幽霊のようにヌーッと立つ姿や、ターゲットに対峙した時に見せる「ニマァ」と笑う表情などは出色。松坂が「人生でここまで口角を上げたことはない」と自負するその姿は、背筋が凍りそうな迫力がある。

(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会

一方、宇相吹がマインドコントロールできない、多田刑事を演じるのは沢尻エリカ。彼女自身、念願だった刑事役の出演だったといい、凛とした芯の強い刑事を好演している。また、先述したスペシャルドラマでは、新日本プロレスの悪役レスラー、タイチ選手との激しい乱闘&逮捕シーンもあり、見どころの1つとなっている。

また、映画の公開に先駆けて、アナザーストーリーとなる「dTVスペシャルドラマ 不能犯」も制作された。こちらは映画版につながるエピソードを構築した物語となっており、『不能犯』の世界をより深く堪能できる内容となっている。この映画とドラマ版が8月にチャンネルNECOで一挙放送される。

狙ったターゲットを確実に殺害できる宇相吹の能力に恐ろしさを感じるが、その殺害の影響が依頼者にはね返るところが本作の特徴だ。本当に恐ろしいのは宇相吹なのか、人間の憎悪なのか、次々とあらわになる人間のもろさ、欲望、業などを目の当たりにし、「愚かだね、人間は」とつぶやく宇相吹の言葉に考えさせられる。

文=壬生智裕

この記事の全ての画像を見る

放送情報

不能犯
放送日時:2020年8月1日(土)21:00~
dTVオリジナルドラマ 不能犯
放送日時:2020年8月1日(土)22:50~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物