新型コロナウィルスの影響の中、2012年に放映された大野智主演の本格ミステリードラマ「鍵のかかった部屋 特別編」が放送され、ファンを喜ばせたことは記憶に新しい。そしてこの夏、2017年に大ヒットを記録した戦国エンターテインメント映画『忍びの国』が映画・チャンネルNECOで放映される。
監督は『映画 怪物くん』を撮った中村義洋で、大野にとって6年ぶりの映画主演作となった。普段は力が抜けまくっているのに戦ではめっぽう強い伊賀の無敵男を演じた大野智と、伊賀をのっとろうとする織田信長の次男を演じた知念侑李との共演も話題となった『忍びの国』。この映画で大野が見せる俳優としての魅力とは?
■飄々とした佇まいは普段の大野智とギャップなし?
監督に「役作りをしなくていい」と言われたという『忍びの国』で大野が演じる"無門"は決闘をする前に「めんどくさっ」とつぶやいてしまうような気負いゼロの忍びの者。子どもの頃から厳しい修行を積んできた一匹狼的キャラクターで、大野の身体能力と嵐で培ってきたダンススキルを活かしたアクロバティックなバトルシーンやワイヤーアクションは本作の見どころの1つだ。
物語の背景になっているのは侍と忍びの激しい戦いが繰り広げられた戦国時代の「天正伊賀の乱」。伊賀に攻め入る織田の軍にひとり囲まれても余裕の笑みを浮かべながら窮地を楽しむように戦うシーンや、織田信雄(知念)の寝込みを襲い、喉元に刃を当てながらその若さに驚き、思わず年齢を聞くシーンなど、大野演じる無門の狂気とのんきが混ざり合う忍者っぷりが突き抜けている。ハメられて伊賀への復讐を誓った下山平兵衛(鈴木亮平)と無門の一騎打ちの迫力も公開当時、話題を呼んだ。
■無敵なのに妻(石原さとみ)には白旗のかわいらしさ
無門が唯一、頭が上がらないのが妻のお国(石原さとみ)だ。稼ぎがなくお気楽な無門は呆れた目で睨まれ、家から閉め出されることもしばしばで、戦ってもなんの報酬もない織田家との合戦を前にお国を連れて忍びの者たちと逃げ出そうとする。が、お国に「小さな子供でも戦うというのにあなたという人は」と怒られたとたんに「行きます、行きます」とさっさと方針転換。そのトボけた味わいとスイッチが入ったらサイボーグのごとく戦い、次々に技を繰り出す無門はどこか孤独を感じさせるという意味でも大野のハマり役かもしれない。
映画の中で、お金のためなら人を殺めることをなんとも思わない"虎狼の族"として描かれている伊賀の忍者たち。お国や下山、複雑な思いを抱えながら織田家の武将となる大膳(伊勢谷友介)らと出会ったことで変化していく無門の心模様も描かれている本作は、エンターテイメントな時代劇とヒューマンドラマの要素を合わせ持っているという意味でも楽しめる。
文=山本弘子
放送情報
忍びの国
放送日時:2020年8月12日(水)10:20~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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