映画『いのちの停車場』に出演し、アイドルオタクの主人公を演じる主演映画『あの頃。』が2021年に公開されることが決定している松坂桃李。
そんな彼が初めて時代劇の主演を務めた映画『居眠り磐音』(2019年)が11月7日に、映画・チャンネルNECOにて放送される。原作はシリーズ累計発行部数が2000万部を超える佐伯泰英の大ヒット時代小説で、監督は『空飛ぶタイヤ』など多くのヒット作を生み出した本木克英。
これまでになかった"時代劇の新しいヒーロー像"と評された松坂桃李演じる坂崎磐音の魅力、時代劇ファンのみならず、ラブストーリーが好きな人も楽しめる映画のキュンとする側面とは?
■おっとり穏やかな剣の達人を演じる松坂にギャップ萌え?
松坂演じる磐音は冷静沈着にして集中力抜群で負け知らずの剣士。独特なのは剣の構え方だ。"居眠り磐音"と言われるようになったのは、その剣術が縁側で日向ぼっこをしながら居眠りする老猫のようで、眠っているのか起きているのかわからない様子から由来する。
ポイントは磐音が哀しい過去を背負った心優しいヒーローであること。幼馴染である磐音と琴平(柄本佑)と慎之輔(杉野遥亮)の3人は、同じ道場に通う仲間であり、琴平の妹が慎之輔に嫁つぎ、磐音もまた琴平の妹、奈緒(芳根京子)と祝言を控えているなど深い絆で結ばれている。しかし、純粋ゆえの悲劇により磐音は2人の幼馴染を失ってしまう。
愛する奈緒を地元の九州に残し、藩を追われるように江戸に向かった磐音は、下町の温かい人たちと出会い、浪人として長屋暮らしを始め、やがて両替屋の用心棒として雇われることになる。
辛い過去を感じさせず「こんなおっとりした人が用心棒なんて」「あんたみたいなぼんやりが」と言われるほどの穏やかで優しい佇まいが剣を抜いた瞬間に変わる様が実に男前だ。決してギラギラした攻撃性ではなく、過去を秘めて悪に立ち向かっていく男の覚悟が垣間見える。松坂桃李のクールさと温かさを兼ね備えた演技が光っている。
■ヒロインとの純愛も見どころの1つ
映画の中でたびたび登場するのが、磐音が部屋で亡き親友たちの位牌に手を合わせるシーンだ。もちろん、残してきた奈緒に対する気持ちは少しも変わっていない。そんな磐音の影の部分を察して何かと世話を焼くのが気のいい下町っ子の長屋の娘、おこん(木村文乃)。
一方、奈緒は磐音への一途な想いを胸に年老いた父母を養っていくべく大きな決断をしていた。月日が経ち、遠い世界で生きていく覚悟を決めた奈緒との場面では、ついに平常心を失う松坂の演技も見どころの1つ。そんな心の内を読みとり、寄り添うおこんの見返りを求めない愛も純粋だ。
ちなみに本作では柄本佑と柄本明(悪を企む両替屋の主人)が親子で出演。ドラマ「半沢直樹」で"ラスボス"と言われた柄本明の怪演にも注目したい。
文=山本弘子
放送情報
居眠り磐音
放送日時:2020年11月7日(土)21:00~
チャンネル: 映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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