菅田将暉と有村架純が主演を務める映画『花束みたいな恋をした』が1月29日(金)に公開される。終電を逃したことから出会い、すぐさま恋に落ちた男女の共に過ごした5年間を描くオリジナルのラブストーリーだが、この作品で脚本を手掛けているのが坂元裕二だ。
坂元と言えば、「月曜の夜は街から女性が消えた」と言われるほどの社会現象的ヒット作「東京ラブストーリー」(1991年)を筆頭に、近年では「最高の離婚」(2013年)、「カルテット」(2017年)などのヒット作を連発し、数々の賞を受賞してきた。一方で、児童虐待や生活保護、男性社会に蔓延るセクハラやパワハラといった社会問題を題材にしたオリジナル脚本ドラマを多く生み出し、「Mother」(2010年)や「Woman」(2013年)が海外でも立て続けにリメイクされるなど、高い評価を集めている。
人に見られたくないような暗部や居心地の悪い状況を、何気ない日常と混ぜ合わせて描くことで作品にリアリティと深みをもたらしてきた坂元作品。その肝となっているのが、登場人物たちが放つ心を刺すような独特なセリフの数々だ。
そんな坂元節とも言えるセリフまわしは、『花束みたいな恋をした』でも健在だ。『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)以来となる恋愛映画で、坂本にとっての初のオリジナル脚本映画となる本作。東京の街中で偶然出会い、恋仲となった男女が、大人とも子供とも言えない過渡期を日々迷いながら過ごしていく姿がリアルに綴られる。
すでに公開されている映画の予告編も、坂元らしいセリフで埋め尽くされている。京王線の明大前駅で偶然出会った山音麦(菅田)と八谷絹(有村)は、音楽や映画の好みが嘘のように一緒で、あっという間に恋に落ちていく。その過程で印象的に描かれるのは、互いを意識し合いながらも慎重になってしまう、けどどうにかしたい...彼らの切実な想いだ。
「話が合うからってだけなのかな?」「友達だって思ってるのかな?」など胸中での問い掛けや、「こういうコミュニケーションは頻繁にしたいほうです」という独特な距離の詰め方など、紋切り型の恋愛映画とは異なった雰囲気を感じることができる。
また「コンセントがギリ届いて、私の髪を乾かし始めた」といったセリフが印象的な、麦が絹の髪をドライヤーで乾かすシーンや、パンを頬張りながら河川敷を歩く何気ない一幕など、些細な日常の場面の切り取り方にも、坂元作品らしさが散りばめられている。
映画の劇場公開に先駆けて、「映画『花束みたいな恋をした』スペシャル」が1月19日(火)深夜にTBSチャンネル1にて放送される。菅田と有村が映画の魅力を語るほか、メイキング映像を交えた撮影の舞台裏の紹介する内容となっており、改めて坂元裕二作品ならではの唯一無二の世界観を確認できるはずだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報
映画「花束みたいな恋をした」スペシャル
放送日時:2021年1月20日(水)3:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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