小芝風花の演技力にうなる!共感必至の異色ドラマ「トクサツガガガ」

「特撮オタク」のヒロインが抱える悲喜こもごもを描いた異色のドラマが「トクサツガガガ」(NHK)。思わず"あるある"と納得してしまう状況やセリフが満載で、放送開始とともにネットで話題が沸騰した。

同作では、ヒロインが夢中になる特撮番組「獅風怒闘ジュウショウワン」が驚くほどのクオリティなのだが、「スーパー戦隊シリーズ」や「仮面ライダーシリーズ」を制作する東映が協力しているのだからそれも当然。「特撮シーン」をしっかり作り込んでいるからこそ、ドラマの魅力が一層深まっているともいえる。

そして、本作が成功した決め手となったのは、連ドラ初主演を務めた小芝風花の存在も大きいのではないだろうか。小芝は「マッサージ探偵ジョー」(テレビ東京系)でコメディエンヌとしての素養を開花させ、監督の根本和政をはじめ、共演した小澤征悦も小芝の演技力を絶賛している。本作では、特撮をこよなく愛するOL・仲村叶を演じているが、全エピソードを通じてオタクの本音満載のモノローグを変化に富んだ豊かな表情で魅了した。松下由樹演じる特撮嫌いの母親に対して、特撮好きであることをひた隠しにしていることがドラマの核になっており、職場の同僚を遠回しに特撮に誘導しようとする場面などがなんともコミカルなのだ。

時折挿入されるヒロイン叶の妄想シーンでは、特撮番組に登場する女幹部に扮した吉田さん(倉科カナ)に詰められてタジタジになったり、リア充女子になりきって「てへぺろ!」と言いながら舌を出しておどけてみせたりと、思い切りのいい演技でドラマをけん引。「変顔」ができることも彼女の魅力だが、本質的には「真面目でひたむき」な性格であることで、役に対してストレートに向き合う姿勢の表れかもしれない。

「トクサツガガガ」に出演した小芝風花

ただ、本作で小芝の演技力が光っているのは、コミカルな場面だけではない。ドラマは回を重ねるごとに、特撮を毛嫌いする母と叶の関係が焦点になっていく。後半では、母と対峙するシリアスな場面も多く、百戦錬磨のベテラン女優である松下に引けを取らない体当たりの演技で、視聴者の心をガッチリつかんでいる。

倉科カナ演じる特撮仲間の吉田さんと、木南晴夏扮する同僚の北代さんとの関係もストーリーのカギを握る重要なポイントだ。彼女たちとの共演場面においては、小芝は"受けの芝居"のうまさを発揮。自分以上にハードな特撮オタクでもある吉田さんの無茶ぶりに戸惑ったり、無愛想な北代さんにオロオロしたりするシーンなどで、小芝は絶妙なリアクションを見せ、共演者の個性を引き出しているのだ。この若さでこのような芸当ができるとは、まったく末恐ろしい女優ではないか。

ドラマには印象的なセリフも多い。例えば、職場でトラブルが起こり全員で残業をする場面では、同僚の「ホントに用事がある人は帰っても大丈夫だからね」という言葉を聞いた叶が心の中でつぶやく。「ホントの用事って何?テレビを見たい、本を読みたい、は用事として認められないの?」。このセリフなどは、労働者として大いに共感させられる深い言葉である。

ファーストフード店で、ある少女が「獅風怒闘ジュウショウワン」のオマケを欲しがるが、母親から「一人だけ違うと変だよ」と諭されるのを目にした叶が、「変じゃないよ。欲しいと思ったもの、選んでいいんだよ」と、優しく言葉をかける。自分の感性を信じ、常識や他人に流されずに自分で判断することの大切さに気づかせてくれる力強い言葉であり、思わずハッとさせられる。

特撮オタクをモチーフにした「トクサツガガガ」の真の主題は、ヒロインが少女に訴えた「価値観の多様性」を認めることの大切さではないだろうか。同調圧力が強い日本社会においては、「他人と違う」趣味や嗜好を貫くことは勇気が要る。だからこそ、自分の感性を信じて貫く人はとっても素敵なのだ。

ドラマ「トクサツガガガ」は、2月27日(土)にファミリー劇場で一挙放送される。小芝の代表作とも言えるヒット作となっただけに、彼女のファンには必見。もちろん、特撮好きな人にもお勧めである。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

トクサツガガガ  一挙放送
放送日時:2021年2月27日(土)13:15~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

小芝風花の放送情報はスカパー!公式サイトへ

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