昨年10月、中心メンバーとして活躍していた乃木坂46を卒業した白石麻衣。卒業後もCMで西野七瀬と共演を果たしたり、バラエティで恋愛について語ったり、YouTubeに挑戦したり...と、アイドル時代とは異なる一面を見せて幅広く活躍中だ。
中でも、今後さらなる期待を寄せられているのが女優としての活動だ。過去にも多くの映画やドラマに出演してきたが、大ヒット作の続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』で演じたヒロイン役は、女優としての可能性を感じさせるものだった。
『スマホを落としただけなのに』シリーズは、スマートフォンが悪意ある他人の手に渡ったら...という現代的な恐怖を描いた志駕晃による小説を原作としたスリラー。監督は『リング』シリーズで知られる中田秀夫だ。
北川景子が主演を務めた第1作では、個人情報や写真のSNS流出、ネットでのストーカー行為、さらに命の危機にさらされるなど、恋人(田中圭)がスマホを落としたことで主人公の麻美(北川)に振りかかる災難が、謎の連続殺人事件と並行する形でスリリングに描かれた。
続く第2作は日常に潜むインターネットの恐怖に加え、警察組織を巻き込んだサイバー犯罪が前作以上のスケールで展開する。前作の担当刑事だった加賀谷(千葉雄大)が、浦野(成田凌)を逮捕したことで、長い黒髪の女性ばかり狙った連続殺人事件は幕を閉じたかと思われたが、1年後、同じ犯行現場から新たな遺体が次々に発見される。捜査は混乱に陥り、加賀谷は最終手段として浦野に面会。そこで謎の人物「M」の存在にたどり着くが、加賀谷の恋人・美乃里(白石)のスマホが何者かに乗っ取られてしまう...。
主演の千葉は、その愛らしいルックスから"かわいい系男子"のイメージが強いが、シリアスな題材を扱う本作では笑顔を封印。やり手の刑事らしく精悍な表情を保ちつつも、不測の事態に振り回され、戸惑いや驚きを繊細に表現しながら、過去のトラウマと向き合う場面では顔を曇らせるなど、これまでのイメージとはガラリと異なる印象を与えている。
一方、獄中にいる浦野役の成田は、前作で見せた"狂気"により拍車をかけた演技を披露。白髪から覗き込む不穏な眼差しや口角が上がったニタッという笑みを湛え、囚われの身にも関わらず何かしでかすのでは?と訝しんでしまうような不気味なオーラを醸し出している。
そんな二人に対し、白石が演じた美乃里は一般人という立ち位置であり、観客にリアルな恐怖を提供して作品の世界に誘う重要な役どころ。"クールビューティー"という印象の強い白石だが、本作では結婚に対して煮え切らない態度の恋人に不満を募らせ強く当たったり、迫りくる恐怖に怯えたりと、人間的なキャラクターを浮かび上がらせている。
恐怖に怯えるシーンでは小刻みに震えながら顔を歪ませ、襲われるシーンでは体を揺さぶられながら白目を剥いたりと、限界まで振り切った体当たりの演技を見せた。加えて、自らが囮になることも厭わない強さも感じさせるなど、女優として様々な方向から役にアプローチしている。
『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』は、シリーズ第1作と共に2月27日(土)にWOWOWシネマにて一挙放送される。アイドルから次のステップへの歩みを進めている今こそ、過去のイメージを打ち破った白石の熱演を再見しておきたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
スマホを落としただけなのに
放送日時:2021年2月27日(土)18:00~
スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼
放送日時:2021年2月27日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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