コラムニスト・吉田潮が、大河ドラマ「おんな城主 直虎」を語る!

'17年の放送時も夢中だったが、今見ても感嘆&号泣。"マイベスト大河"と断言してもいい、この井伊さんちの戦いは。

歴史上謎の多い井伊直虎を柴咲コウが実にのびのびと魅力的に演じた。他家へ嫁がされぬよう出家、僧となって井伊谷の地と民を守る。戦のない世を目指し、奇策と妙策を繰り出す。女性で僧だからこそできる見事な政に何度快哉を叫んだことか!

とにかく井伊さんちは時の権力に翻弄される。今川家、武田家、そして徳川家のむちゃぶりや横暴に涙も煮え湯も飲まされ続ける。一度はお家存続を諦めるも、志は引き継がれ、戦のない世に貢献するという物語に。悲劇と艱難辛苦が山盛りだが、全50話が1本の糸で連綿とつながるのを見届ける快感があった。

井伊家の女性当主・井伊直虎の激動の人生を描いた名作

最も心を奪った登場人物は小野政次(高橋一生)。井伊家の家老だった父(吹越満)の裏切りが尾を引き、忌み嫌われる役回りだ。直虎に思いを寄せ、井伊の発展を実は誰よりも願っていた政次の偽悪と本懐は、涙なしには語れない。政次の最期は瞼が腫れるほど泣ける名場面だ。

また、同じ志で契るはずが夭折した井伊直親(三浦春馬)、直虎と情愛を交わすも別離した盗賊団の頭・龍雲丸(柳楽優弥)、直親の忘れ形見で、直虎に反発しつつも"井伊家イズム"を継承、再興に尽力した虎松(菅田将暉)、そして直虎が師と仰いだ南渓和尚(小林薫)も適材適所の名演だ。

コメディー要素も抜群。"銭ゲバ"商人の瀬戸方久(ムロツヨシ)の登場は珍妙で、井伊家の乳母と侍女が一人三役(梅沢昌代)というのもトリッキーで乙な配役。遊び心満載の各話タイトルにもうなる。心地よく感情が大忙しの大河は珍しく新しかったなぁ。

よしだ・うしお●'72年生まれ。ドラマ好きのコラムニスト兼イラストレーター。週刊誌や新聞でテレビ・ドラマ評を執筆。時々テレビにコメンテーターとして出演。著書「くさらないイケメン図鑑」など著書多数。ネコ2匹と同居中。

文=吉田潮

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放送情報

大河ドラマ「おんな城主 直虎」
放送日時:2021年4月7日(水)8:00~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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