毎週日曜の午後に話題の映画作品を放送している、日本映画専門チャンネルの「日曜邦画劇場」。MCを務めるフジテレビ・軽部真一アナウンサーが作品にまつわるゲストを迎えて撮影秘話などを掘り下げていく対談も見どころの同プログラムでは、2021年2月より、日本を代表する映画監督・岩井俊二の新作を放送してきた。最終月となる4月は、コロナ禍でも最新のエンタメを届けたいという想いから、全編ほぼリモートで撮影された意欲作「8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版−」をTV初放送。対談では、同作の主演を務めた俳優・斎藤工と岩井監督を迎え、映画にまつわる話を展開する。
今回、斎藤と岩井監督に、撮影の裏話や同作への思いなどを語ってもらった。
――樋口真嗣監督らが「怪獣の人形に願いを込めてコロナウイルスを倒そう」という趣旨のもとスタートさせた、リレー形式で動画をつなげていく「カプセル怪獣計画」という活動に、樋口監督から岩井監督にお声がかかったことが、本作誕生のきっかけだそうですね。
岩井「樋口さんからの依頼には、斎藤工さんも参加しているんですけど、1分足らずの映像を制作して送るものだったんです。最初はそのくらいから始まったんですけど『怪獣を育てたらおもしろいかな』と、ふと思って、それを提案したら『おもしろいですね』という話になり、それからシリーズ的な作品になっていったんですよね。一旦、脚本として書き始めたら、だんだん膨らんできてしまって、気がついたら1時間くらいの話になりそうだったので、そこでどうしようかなと。最初は『YouTubeで配信できたらかわいいかな』と思って実際にそうしたんですけど、追加シーンなどを書いているうちに、のんちゃんのシーンなどが増えてきて、そこから映画として上映できないかなとなっていったんですね」
――斎藤さんは岩井監督の動画の主演というお話が来た時、どんな風にお感じになりましたか?
斎藤「岩井さんからそんな話をいただけることがちょっと驚きではあったんですけど、徐々に岩井さんの"ウルトラマン愛""怪獣愛"みたいなものを知っていくにつれて、必然に変わっていきました。そして庵野秀明さん企画・脚本、樋口真嗣監督の映画『シン・ウルトラマン』に僕がかかわったことと、点が線に繋がっていくような時間でした。基本的には外に出られない閉塞的な時期だったんですけど、このプロジェクトのお陰で『この状況だから岩井さんと一緒に作品を作れる』という大きな救いをいただいた作品ですね」
――配信版はカラーでしたが、映画版はモノクロです。これはなぜなのでしょうか。
岩井「配信版はYouTubeでの公開だったので、そのままカラーにしたんですけれども、映画としてまとめていくなかでZoomの映像などが結構生々しくて。そんな中で『白黒にしたらどうなるかな』という感じでテストしてみたら、なかなかいい感じで。思えば僕にとって初めての怪獣映画になるんですけど、僕が大好きだった『ゴジラ』も『ガメラ』も『ウルトラQ』もスタートはみんな白黒だったので、その先輩達にならって白黒で怪獣映画デビューというのもなかなか乙だなと思いますね」
――作品内に登場するカプセル怪獣は岩井監督の手作りなんですよね?
岩井「そうなんですよ。自分で粘土をこねこねして作ったんですけど、非常に作りがもろくて宅配便で送ると壊れてしまいそうだったので、自分の車でそーっと運んで斎藤さんにお届けしていました」
斎藤「岩井さんの指紋だったりがそこにあると、作り物というよりは人の何かが宿っているものとして、僕も扱いがすごく慎重になりました」
――斎藤さんは、どの怪獣がお好きですか?
斎藤「僕はある意味、残酷なシーンにも繋がるガッツ星人ですね。愛らしさと不気味さと、という。自宅にある植木鉢に入れたりして、それまでに愛着がわいていたので、切断というシーンはわかっていても心が痛んだという、それくらい愛情のようなものを感じさせてくれました」
放送情報
8日で死んだ怪獣の12日の物語 −劇場版− ゲスト:斎藤工・岩井俊二監督
放送日時:2021年4月4日(日)21:00~ほか
※4月2日(金)23:00~YouTube版(全12話)と劇場版のメイキング番組も放送
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら