窪田正孝、エロス&暴力が渦巻く映画で浮世離れした「ペンギン」役を体現!

NHK連続テレビ小説「エール」がコロナ禍の日本にエールを送り、無観客で開催された2020年末の「NHK紅白歌合戦」のテーマになるほど多くの視聴者に愛されたのは記憶に新しいところ。妻や親友たちに支えられながら、激動の時代を数々の歌で勇気づけた作曲家(モデルは古関裕而)を演じた主演の窪田正孝の演技も高い評価を得た。

そんな窪田が"南十字星ペンギン"という名の詩人を演じたのが永瀬正敏主演の映画『ファンシー』(2020年公開)だ。原作は山本直樹による短編漫画で、ヒロイン役は窪田と映画『初恋』でも共演した小西桜子。アクションもこなす窪田だが、ちょっと気弱で繊細な芸術家の役が実にリアル。母性本能をくすぐられる視聴者も多いのではないだろうか。『ファンシー』で窪田が演じた非現実世界に住むような男、ペンギンとは?

写真左から窪田正孝、永瀬正敏(『ファンシー』より)

(C)2019「ファンシー」製作委員会

■詩人、ペンギンの不思議な世界

永瀬が四六時中サングラスをかけた怪しい郵便局員(彫師の顔も持つ)・鷹巣明を演じる『ファンシー』の舞台はひなびた温泉街。ヤクザの抗争などバイオレンスなシーンや、エロティックなシーンも多く描かれ、小西が大胆な濡れ場を演じたことでも話題となった。しかし、そんな生々しい世界とは別次元で、太陽を避け、白い家の中に引きこもっているのが窪田演じるペンギンだ。

家の中はつねに冷房でキンキンに冷やされ、かき氷を美味しそうに食べ、バスタブに入れるのはお湯ではなく氷。「月刊ファンシーポエム」の連載が女子に大人気の詩人で、唯一の友人はサボりがてらファンレターを届けにやってくる郵便局員の鷹巣。小西は「私は先生の妻になりたいのです」と手紙に書き、実際に押しかけてくる"月夜の星"役で出演している。

重い過去を背負ったコワモテの鷹巣がペンギンの家では寒さをガマンしてストールを羽織るなど、ユーモラスな場面はペンギン宅で生まれる。血なまぐさい現実から宙に浮いている世界の住人を窪田が演じていることで、『ファンシー』の登場人物たちの孤独が浮き彫りにされる。

■窪田正孝の演技がかわいくて切ない

浮世離れしているゆえに、男女の関係に至れないペンギンを見かねて鷹巣がストリップ劇場に連れていく場面はかわいさマックス。外出したペンギンは間近で女子の裸を見て少年のように大興奮。だんだんペンギンの気持ちに変化が生まれていく。そして窪田の演技の見せ場は扉を開けて、太陽の光の中に足を踏み出していくシーン。眩しさの中、歩いていく姿や表情に惹きつけられる。

『ファンシー』は4月24日(土)にWOWOWシネマで放送される。郵便局員、詩人、押しかけ女子のストレンジな三角関係はどんな結末を迎えるのか。楽しみにしたい。

文=山本弘子

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放送情報

ファンシー
放送日時:2021年4月24日(土)22:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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