2006年から月刊「Gファンタジー」で連載されている、枢やなの大人気ダークファンタジー漫画「黒執事」。19世紀の英国を舞台に、万能で完璧な執事でありながら正体は悪魔というセバスチャンと、名門ファントムハイヴ家の幼い当主シエルの物語が展開される。
この漫画を原作とした "生執事"とも呼ばれるミュージカルは、2009年に第1弾が上演されて以来、再演も含めてこれまで8作品が上演されてきた。TBSチャンネル2では、今年4月4日に上演されたばかりのシリーズ最新作『ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~』の千秋楽公演を5月30日(日)にTV初放送。舞台裏映像付きのスペシャルバージョンとあって、すでに観劇したというファンも必見だ。
セバスチャンとシエルはヴィクトリア女王からの依頼を受け、クレメンス侯爵の息子が昨年の夏休みから帰省していない原因を調査することになる。先生と生徒になりすまして、名門ウェストン校に潜入するものの、そこには伝統に縛られた閉鎖的な世界が広がっており、真相はなかなか見えてこない。しかも学園の絶対君主である校長はなぜかまったく姿を見せず、面会できるのは「P4」と呼ばれる4人の監督生(プリーフェクト)のみ。そんななかシエルは、年に一度開催されるクリケット大会で活躍すれば、校長主催の「真夜中のお茶会」に招待されることを知る。
およそ3年ぶりの最新作では、キャストが一新されたことが大きな話題となった。セバスチャンを演じるのは、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンの幸村精市役や、MANKAI STAGE『A3!』の茅ヶ崎至役で注目を浴びた立石俊樹。本作が舞台初主演となった彼は、人間離れした美しいビジュアルと、ふいに見せる悪魔らしい妖艶な表情、そして優雅な立ち振る舞いで、完璧な執事セバスチャンを見事に表現している。スタイリッシュなアクションシーンに加え、お茶目でかわいらしい一面が見られるシーンもあるので、ぜひ注目してほしい。
そして、シエルを演じるのは舞台『刀剣乱舞』の堀川国広役などで知られる小西詠斗。過去作では少年であるシエルの設定に合わせたキャストが選ばれていたため、成人キャストがシエルを演じるのは今回が初めて。しかし小西はそんなプレッシャーを感じさせないのびのびとした芝居で、シエルを好演。他の生徒たちといるときの優秀な生徒の姿と、セバスチャンの前で見せる本来の姿のギャップがとくに印象的だ。
タイトルにもある通り、原作漫画でいうところの「寄宿学校編」の物語が描かれる本作。学園要素が多いため、従来の重厚感あるダークな雰囲気とは一味変わった作風を楽しむことができる。とくに大きな見どころであるクリケット大会は、スポーツもののミュージカル作品かと錯覚してしまうほど。ちなみにクリケットのルールをまったく知らない人でも楽しめるシーンになっているので、安心してほしい。これまでのシリーズとはまた違った魅力が満載の最新作となっている。
文=中島文華
放送情報
ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~ 舞台裏映像付き特別版
放送日時:2021年5月30日(日)21:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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