40歳を迎えた昨年は「竜の道 二つの顔の復讐者」(フジテレビ系)、そして今年は「桜の塔」(テレビ朝日系)と、硬派なドラマの主演が続く玉木宏だが、彼がブレイクしたきっかけの1つは、2006年に出演したドラマ「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)だった。そんな玉木が、久々にコメディにどっぷりハマったドラマで主演を務めたのが、累計売上360万部(2021年3月時点)を突破している、おおのこうすけの大人気コミックが原作の「極主夫道」(2020年・日本テレビ系)だ。この作品が6月20日(日)に日テレプラスで一挙放送される。
玉木が演じるのは、「不死身の龍」といわれた最凶の極道。結婚を機に足を洗い、家事が超絶苦手な妻・美久(川口春奈)に代わり、専業主夫に。高すぎる主夫力で地元婦人会のベテラン主婦たちにも認められていくが、強面にグラサン、スーツの上に柴犬のキャラクターがプリントされたエプロンを羽織り、「主夫、ナメたらあかんで」とスゴむなど、極道時代の外見と言動は抜けていない。そのため周囲の人たちを怖がらせるが、本人には「怖い人」という意識はまったくなく、極道時代に培った精神で、世の中と仁義を痛快に斬りまくる。
驚くべきは、玉木の「不死身の龍」の再現度の高さ。眉間のシワからメンチの切り方まで、マンガの龍そのもの。コメディドラマだが、龍は常にハードボイルド。玉木がコメディタッチな芝居をすることはない。やくざの会長(竹中直人)など、まわりの人物とのテンションの違いが龍のおもしろさを引き立てる。この点は、見た目は違えど、出世作「のだめカンタービレ」の千秋先輩に少し似ているかもしれない。
ドラマには、原作マンガとは少し違うところがある。まず、龍一家に娘・向日葵(白鳥玉季)がいること。原作では、明るいバリキャリの妻・美久と2人暮らしだが、ドラマではファミリーで、住まいもアパートから一軒家になっている。娘がいることで、原作にはないエピソードが盛り込まれることとなるが、原作にはない美久とのなれそめが第5話で描かれているのは、原作ファンにも嬉しい点だろう。結婚に至るまでも、龍の極道カルチャーのなせる業なのもおもしろい。
原作にはない主要キャラクターがもう1人いる。龍を慕う極道時代の舎弟・雅(志尊淳)が恋をする、喫茶店でアルバイトをしている女子大生・ゆかり(玉城ティナ)だ。ものおじしないクールな彼女に恋をするのが、龍とは真逆の、スゴミがまったくない雅。雅の恋物語のかわいらしさも、ドラマに華を添えているが、志尊は、こういうかわいい系わんこ男子がよく似合う。龍と雅のデコボココンビもコメディらしさを増長させる要素だ。
何も考えずに楽しく見て、ホロッとするもよし、原作マンガとの違いをチェックするもよし、コメディ作での玉木宏を楽しむもよし。一挙放送でカチコミだ!
文=坂本ゆかり
放送情報
極主夫道 一挙放送
放送日時:2021年6月20日(日)10:30~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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