三浦春馬ら俳優陣の慟哭が胸を打つ...見る度に衝撃を受ける「わたしを離さないで」の世界観

「わたしを離さないで」
「わたしを離さないで」

綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみという豪華キャストが共演を果たした2016年のドラマ「わたしを離さないで」。生まれながらにして"特別な使命"を背負い、生きることや愛することに真摯に向き合う男女の姿を重厚に描き、2016年の放送当時大きな話題を呼んだ。

原作は、2017年にノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家カズオ・イシグロが2005年に発表した長編SF小説。衝撃的なテーマが話題を呼び、英語圏で大ベストセラーとなった同作は、2010年にキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演で映画化されたほか、日本でも2014年に多部未華子主演、蜷川幸雄演出で舞台化されてきた。

哀しい運命を描く意欲的な作品として色あせない「わたしを離さないで」

舞台を日本に置き換え、世界で初めて連続ドラマ化が実現した本作は、6月5日(土)にTBSチャンネル1にて全話一挙放送される。生や愛への普遍的な問いが込められているテーマに加え、年月を経ても魅力が色あせない要因の1つに、森下佳子による脚本がある。森下と言えば、この翌年に放送された「おんな城主 直虎」でも三浦と再タッグを組み、幼なじみの男女3人の関係性を軸にした戦国ドラマとして、大河ドラマに新たな風を吹き込んだ人気脚本家だ。

綾瀬とも「白夜行」(2006年)や「JIN-仁-」(2009年、2011年)のほか、近作の「天国と地獄~サイコな2人~」(2021年)まで、数々のTBSドラマでタッグを組んできた森下。彼女を一躍スターへと押し上げた大ヒットドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」では、白血病という運命を突きつけられた女子高生の純愛を描いており、「わたしを離さないで」とも通じる普遍的かつ重厚なテーマのヒット作を数多く手掛けてきた。

「わたしを離さないで」

世間から隔離された施設で"特別な人間"として良質な教育を与えられてきた男女3人が、自分たちに課せられた衝撃の事実を知ってしまう...。そんなヘビーなテーマを扱う本作でも、大人になるにつれて変わっていく3人の関係性や葛藤といった"ヒューマンドラマ"が軸となっており、サスペンスフルな展開だけでなく、上質なラブストーリーとしても成立させている。

そんな原作や脚本の持つ熱量に呼応するかのように、複雑なキャラクターになりきった俳優陣の熱演も見逃せない。主演の綾瀬が演じた恭子は、優等生であるがゆえに、自分の運命を半ば諦めの境地で受けいれていくキャラクターで、あまり感情の起伏を見せない難役だ。当時30代に入ったばかりの彼女が、どこか退廃的なムードを漂わせ、新たな一面を覗かせた。

「ブラッディ・マンデイ シーズン2」(2010年)以来6年ぶりのTBSドラマ出演となった三浦が扮したのは、マイペースな青年・友彦。普段は温厚な友彦だからこそ、定められた運命を突きつけられた際の、感情を爆発させる慟哭は視聴者の心に響くものがあった。また、勝気な女子のリーダー格・美和を演じた水川は、意地悪な表情から穏やかな顔つきまで豊かな表現力で、随所でストーリーを動かす重要なキャラクターを体現。タイトルでもある「わたしを離さないで」と叫ぶ渾身の演技は、物語を盛り上げた。

「わたしを離さないで」

原作の持つ面白さに、脚本の妙、そして引き込まれるような俳優たちの熱演が加わり、意欲的な作品に仕上がっていた「わたしを離さないで」。5年という年月を経た今、改めて再見すると、いかに攻めた地上波ドラマであったかということが再認識できるのではないだろうか。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

わたしを離さないで
放送日時:2021年6月5日(土)11:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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