いまや国際派俳優となった小栗旬西島秀俊が4年前にタッグを組んだアクション・サスペンス

2021年公開のハリウッド映画『ゴジラvsコング』で海外進出を果たした小栗旬と、最新主演映画『ドライブ・マイ・カー』が第74回カンヌ国際映画祭で高く評価された西島秀俊。「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」は、共に世界へと活躍の場を広げつつある人気俳優2人がバディを組んだサスペンス・アクションだ。今となってはかなり貴重なその共演作が、8月7日(土)に日本映画専門チャンネルで一挙放送される。

小栗旬が演じる稲見朗(いなみ・あきら)は元自衛隊員。極秘任務によって心の傷を負い除隊した後、警察庁の切れ者・鍛冶警備局長(長塚京三)に拾われ、公安機動捜査隊特捜班に入る。その相棒となったのは元公安部外事課の田丸三郎(西島秀俊)。鍛冶直轄の独立部隊であるチームには他に、爆発処理のスペシャリストである樫井勇輔(野間口徹)、若きハッカーでサイバー情報分析のプロ・大山玲(新木優子)、そして班長の吉永三成(田中哲司)がいる。稲見を始め全員が"ワケあり"で、通常のキャリアを歩めなかった者ばかり。彼らは独自捜査でテロリストが誰なのかを見つけ出し、テロが実行されて政府要人が殺されたり一般人が被害にあったりする事態を防いでいく。

直木賞作家でもある金城一紀が原案・脚本を手掛け、アクション指導も。フィリピン発祥の格闘術「カリ・シラット」を用いた迫力の肉弾戦を中心に、警棒での打ち合い、LEDの懐中電灯を使った攻撃など、テレビドラマとは思えないほど凝りに凝ったアクションが展開される。特に第1話では、撮影スタジオに新幹線の車両のセットを作り、新幹線内でのテロリストとの手に汗握るバトルをたっぷりと。小栗と西島はクランクインの1年以上前から金城の下で練習を積み、スタントなしのガチなアクションを披露した。小栗によれば「相手に殴られまくって、本当にパンチが入ってくるので(中略)、毎回、服を脱ぐとアザだらけです。もう打ち身、擦り傷はケガのうちに入らないという感じでやっていました」という状態だったそうだ(「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」ドラマオフィシャルガイドブック/KADOKAWA)。

小栗は184cmの身長と長い手足を活かし、身体能力抜群の稲見を熱演。普段は飄々としていて捜査中も余裕を見せ、時にテロリストの復讐心に理解すら示す"つかめない男"を魅力的に体現している。そんな彼にはかつて自分に非人道的な任務を与えた国家を信じていいのか、そのとき犯した自分の罪は許されるのかという揺らぎがあるが、そこを年上の田丸が支える。田丸が稲見に「お前は俺だ」と言う終盤のシーンまで、2人の関係性も見どころになっている。西島は「MOZU」シリーズに続いての公安警察官役で、寡黙だが実は心温かい田丸を好演している。連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合ほか)で演じている気象予報士のようなソフトな役柄も似合うが、やはり田丸のようなハードな役で男らしさを全開にしている姿も魅力的だ。

脚本の金城によれば「タイトルのCRISIS(クライシス)は、稲見や田丸が立ち向かう国家の危機と彼らの心の危機、その両方を表しています」(同オフィシャルガイドブック)。テロリストとして登場するのは、現状に絶望し「平成維新軍」と名乗る若者たち、地下鉄爆破テロを起こした新興宗教、そして、ラスボスとなる最強の暗殺者。現実にリンクする設定が金城作品らしく、彼らとの戦いによって国家権力の闇を知った特捜班の面々が最後にどう行動するのか。衝撃の最終回までじっくり見てみてほしい。

文=小田慶子

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放送情報

CRISIS 公安機動捜査隊特捜班
放送日時:2021年8月7日(土)12:20~※全10話一挙放送
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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