同世代コンビの玉木宏&高橋一生が双子に!家族の仇に立ち向かう20年以上にわたる復讐劇

人気俳優の玉木宏と高橋一生はともに1980年生まれ。実は同世代だ。しかし、2020年、彼らが双子の兄弟を演じると発表されたときは、驚いた人も多いのではないだろうか。2人は無頼派作家・白川道(しらかわとおる)の小説をドラマ化した「竜の道 二つの顔の復讐者」で初共演し、竜一(玉木)と竜二(高橋)という双子の兄弟を演じた。

「竜の道 二つの顔の復讐者」で双子を演じた玉木宏と高橋一生

明らかに顔が違う2人がなぜ双子役なのか?という疑問は、第1話を見ると解決する。物語の始まりは1997年の福岡。幼いころに実の両親に捨てられ、小さな運送会社を営む吉江家の養子として引き取られた竜一と竜二。2人の兄弟は、吉江夫妻とその実の娘である妹の美佐(松本穂香)と幸せに暮らしていた。しかし、会社は全国への事業拡大を企むキリシマ急便の社長・霧島源平(遠藤憲一)に乗っ取られ、多額の借金を抱えた養父母は自殺。まだ10代だった竜一と竜二は、源平への復讐を決心する。15年後、竜一は顔を整形して他人に成りすまし、社会の裏側を探るゴシップ雑誌編集者に。竜二はエリート街道を歩んで運送会社を監督する国土交通省の官僚となっていた。

玉木が演じる兄の竜一は顔を整形していた。それなら顔かたちが違っても辻褄が合う。双子の兄弟はそれぞれ表と裏から源平のことを調べ上げ、悪質な経営でのし上がっていく彼を失脚させようと企む。これは古今東西、人気のある仇討ちの物語で、源平は悪い仇には違いないが、彼の言うことはこの資本主義社会では一応、理屈が通っている。

地方の運送会社を買収するのは、源平に言わせれば「法的には問題ない」「正式なM&A」だ。15年前、養父母を死に追いやられた兄弟は警察に訴えるも何もしてもらえず、ついに竜一はナイフを持って源平を刺そうとするが、キリシマ急便の社員たちに取り押さえられてしまった。そのとき、源平は自殺した吉江夫妻のことを「気の毒じゃったのう」と言いつつ、「本当に気の毒なのは保険会社や。借金返すために自殺するような負け犬のせいで、高い保険金を払わされて」と言い放った。これこそ完全に強者の論理。ビジネスの競争において騙された人間は「負け犬」だと決めつけ、絶望して死ぬことすら「迷惑」だと非難する。そこには弱者への思いやりは一切ない。

そんな源平に立ち向かう竜一と竜二が共感を呼ぶのは、当然だろう。復讐劇とは、思い上がった成功者にNOを突きつける物語でもあるのだ。

そんな王道の復讐劇を演技の達者なキャスト陣が盛り上げる。玉木宏は30代までは朝ドラ「あさが来た」や大河ドラマ「平清盛」でもそうだったように、美しい容姿を活かした御曹司やプリンスのような役柄が多かったが、40歳を迎え、本作ではダークな魅力を全開に。竜一は源平に復讐するためなら自分の手を汚すことも厭わない肝の座った男だが、根が善良ゆえに良心の呵責にさいなまれる。その葛藤を迫真の演技で見せた。一方、高橋一生はドラマ「天国と地獄~サイコな2人~」「岸辺露伴は動かない」のように振り切ったキレキレの役もできる人だが、竜二役ではどちらかというと受け手に回り、抑えた演技で玉木とコントラストになる役割を果たしている。時折、竜二が血のつながらない妹の美佐(松本穂香)に見せる笑顔は、双子の本来の心優しさを感じさせて秀逸だ。

松本まりか(写真左)

妹役の松本穂香を始め、竜一がITコンサルタント会社社長の和田となってから社員として支える凛子役で「あなたの番です」の奈緒、霧島の娘で竜二と婚約することになるまゆみ役に松本まりかと、女優たちの演技もインパクト大。見応えのある豪華共演をじっくりと楽しみたい。

文=小田慶子

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放送情報

竜の道 二つの顔の復讐者
放送日時:2021年9月1日(水)18:20~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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